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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第八話(上) 苦難と心と
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文字を食らった後では耐えきれず、メタグロスは四肢を崩して遂に沈黙した。
 あっという間に残り二体にまで二人は追い詰める。しかし――

「メタグロス。お疲れ様。あとでしっかり磨いてあげるからね……。行って、エアームド!」

 ミカンは表情一つ変えずに応戦し続ける。この豪胆さや力強さに段々とレッドはヤナギを彷彿とさせ始めている。
 そして何よりチョウジでの敗北をまた繰り返すのではないかという危惧が彼自身の脳裡に過っていた。

「ドータクン! リザードンに催眠術」

 メタグロスが倒れた今、トリックルームを行っても無駄だと思ったのかミカンはまずリザードンを黙らせる事を念頭に置いたようだ。
 しかし、催眠術はそう何回も通用するものではなく、リザードンには一向に効かなかった。

「リザードン! エアームドへ大文字っ!」

 エアームドさえ仕留められれば例えリザードンが倒れてもエリカがどうにか勝ってくれるかもしれない。レッドの中にはそんな楽観的な考えが芽生えつつあった。
 しかし、結果はレッドの期待を裏切るかのように、大文字はエアームドより左20センチの方向にそれてしまう。
 ミカンは勝機を掴んだと確信したかのような表情で

「エアームド! リザードンにブレイブバードっ!」

 その声を載せたか否か、エアームドは鋭い弾丸のようにリザードンの懐を狙い、突撃した。
 弾丸は確実にリザードンを射抜き、そして姿勢を崩したままリザードンは倒れ、起き上がる事は適わない。
 レッドは咄嗟にリザードンの頭と首を持ち上げる。すると、目を合わせてリザードンは呟く。

「済まないな……。力が……足りなかったばかりに」

 彼は数秒ほど黙した後

「いいよ。お前は十分に健闘した。寧ろこれは俺の戦略ミス。つまり俺の責任だ。お前や戦ってくれた皆には責任は無い」

 そう言って、レッドはリザードンを戻した。三体全滅。
 これによってレッドの敗北が確定した。
 エリカは夫の仇を取らんとばかりに奮戦したが、ドータクンは倒せてもやはり弱点であるエアームドを突破することは敵わずに敗北した。
 二連敗。まだ最初の地方であるというのにあまり宜しくない結果が続いてしまった。
 
「……」

 ミカンは勝ったというのにどこか浮かない顔をしている。

「どうされました?」

 エリカが尋ねると、ミカンは途端に

「いえ、その……。なんだかお二人に勝ったという実感が湧かないといいますか」
「どうして? ミカンさん確かに強かったですよ。ヤナギさんに鍛えてもらっただけあるというか」

 レッドはそうミカンを持ち上げる。

「そんな。あたしかなりギリギリでしたよ? あの大文字が当たっていれば決定打になる技が出せるポケモンがもうい
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