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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第六話 二つの巨壁
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―3月20日 午後1時 37番道路―

アカネが恋に破れ、自然公園の宿泊所で一泊した一行はエンジュシティに向かう為、37番道路を歩いていた。
アカネは、キキョウとエンジュの交差点となっている場所を通りかかると思い出したかのように、話し始める。

「昔な。ここらにおかしな木があってな。ゴールドちゅう少年が水をかけたんよ」
「ゴールドってあのセキエイのチャンピオンになられたお方ですか?」

 エリカが尋ねた。

「何や知っとるんか。ほんなら話は早いわ。そんで、それはウソッキーちゅうポケモンだったんやで!」
「へー、そんな事ってあるのですね……」

 と何とも良い雰囲気の会話をしている一方、その後ろには一人だけ違うオーラを放っている人物がいた。
 レッドは不機嫌だった。
 アカネからほぼ一方的に荷物持ちをさせられただけで無く、エリカには全く話しかけらない状況だ。
 そんな事もあってか、レッドはささやかな反抗の証でわざと遅めに歩いていた。

「なーレッド! もー少し早く動いてくれてもええんちゃうの?」

 それを察したのかアカネは柔らかめな語調でレッドを諭す。

「アカネさん。夫にきつすぎやしません事?」

 エリカが微笑を浮かべながらアカネに苦言を呈する。

「えーのえーの、人生の厳しさちゅうもんを若造に教え込むんやって!」

 アカネは得意そうに威張る。
 レッドは内心、振られたくらいで成長したつもりでいる鬱陶しい奴であると感じている。

「なーレッドー」

 アカネは身を揺らしながら急かす。
 揺れると、たわわな乳房が上下する。それに着目したレッドは不埒な事を再び考え出したが、振り切り

「だー、少し待てや!」

 と少々やけっぱち気味に答えた。

「!」

 アカネは素早く駆け寄って、レッドの頬を平手打ちした。
 さながらストライクのとんぼ返りといったところか。

「痛い!」
「コガネ弁使ってえーのはコガネ人だけやで! そのちっこい脳に叩き込んどき!」

 アカネは強めの口調でレッドを戒める。
 気の強い女性の前には何も反論できない自らの臆病さをレッドは自覚する。
 こうして、三人は道路を北上していく。

―その頃 エンジュ大 学長室―

 学長室は本来学長が座るべきイスに黒ずくめのスーツを着たサカキが鎮座。そして、そのすぐ横にオーキドが立っていた。
 学長は机の前でひざまずいている。

「ウツギが来たようだな」

 サカキが学長に尋ねる。

「ハハ! 合格させるようにと!」
「ツクシの件でか……あの男は純真にすぎて我々の計画は邪魔だ。あの豊富な知識が買えんのは惜しいとこじゃが……無論追い払ったの?」

 オーキドが学長に尋ねる
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