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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第六話 二つの巨壁
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の……21世紀の世の中で通用するわけない!」
レッドは声を荒げる。
「……、わけないね。ただ、直に僕の言った事が本当だって分かる日が来るさ。どうあれ、僕は、博士から5000匹以上のさらったポケモン達を取り戻す為にエンジュ大に行く。もしかしたら僕は死んでしまうかもしれない。だからジムを空けたのさ。……まあ舞妓さんにもこの件は言えなかったけど」
マツバはそう締めくくる。
「本当に、行かれてしまうのですか」
少々の間を空けた後、エリカは尋ねた。
「やはり君は冷静だね。そうだよ。例え君達が止めようと……僕は行くさ。でだ、君達に一つ言っておきたい事があるんだ」
「何ですか?」
エリカはまたも尋ねる。
「もし僕に万一の事があれば……、代わりにオーキド博士を止めてくれ。ただ、それだけだ。じゃ、僕はこれで」
そう言ってマツバは立ち去ろうとする。
「待て」
レッドは敬語を捨ててマツバを呼び止める。
マツバは黙ってレッドを見る。
「バカじゃないのか! いくら千里眼とはいっても本当にそれが起こってるかどうかはあんた以外の誰にも分からないし、証明しようも無い! そんなものに命を懸けるなんて……エンジュ大だかなんだか知らないけど、いくらあんたが頭良くても真性の馬鹿野郎だっ!」
レッドの大喝にマツバは低く笑いながら答える。
「誰が信じてくれなくてもいいよ。僕が、僕自身で、この目で、貰い受けてからずっと付き合い続けたものが見た物を信じる。それで行動を起こすには十分だよ。馬鹿野郎ならそれでも結構。ただ、それが君自身に跳ね返らないことを祈るばかりだ」
そう言うと、マツバは次こそ立ち去っていった。
「……、並々ならない覚悟が見えましたわ」
エリカは静かにそう言う。
「全く本当に馬鹿馬鹿しい……!! どうして、どうしてオーキド博士が……!」
レッドは地を何度も踏みつけながら怒りをぶつける。
「貴方が仰せのとおり事の真偽は分かりかねますわ。とにかく今は静かに見守りましょう」
彼女はレッドの肩を叩きながら静かに宥める。
「それにしても……」
レッドはエリカに注意を向ける。
「まさかマツバさんがあそこまで勇敢なお方だとは、思いもしませんでしたわ」
レッドは彼女の何気ない一言に大きく心を抉られた。
どんなに異常だと言っても、エリカの心には響かなかったということなのだ。
それと同時にマツバに好印象を持ったということもレッドにとっては無視しがたい出来事である。
「そ……そうだな」
レッドは自らの印象を下げまいと言いたい事を抑え付けてエリカに同調した。
その後、スズの塔の一階部分を見学し、エンジュ観光を
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