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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第六話 二つの巨壁
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ツバさんはエンジュ大学首席ですわよ?」

 レッドは目がくらんだ。エンジュ大学は内国における主に文系分野の金字塔である。

「ハハ、エリカさんに比べれば大したことは無いよ。さて、それはそうとここにいるって事は、もう舞妓さん達とは戦ったという事だね?」

 マツバは心地良く流れるかのように喋喋(ちょうちょう)と話す。
 見た目の良さに加え、尋常ならざる頭脳。レッドからすればまさに天敵というべき人物である。

「ええ、そういう事です。どうしてマツバさんはわざわざジムをたたまれたのです?」
「僕はこれから、ある所に行くからさ……。組織を止めるためにね」

 マツバの発言にレッドは食いついた。

「それって一体どういう事です?」

 マツバは静かに話し始めた。

「ロケット団がまた性懲りも無く動こうとしている。でも普段だったら僕は見逃すよ……、僕にはあまり影響はないし、何より僕個人には関係ない。でも今回は勝手が違うんだ」
「え?」

 レッドが目を丸くする。

「僕の千里眼で見た限りだと、ロケット団はエンジュ大学を拠点として動こうとしている。しかしあのロケット団がどうしてエンジュ大なんかを拠点にするのか、不思議じゃないか?」
「確かにそうですわね。普通でしたら大きなビルがあるところなどに潜伏しそうなものですしね」

 エリカはマツバの疑問に同調する。

「だから、更に精査した。すると、あのオーキド博士の姿が浮かんだんだ」
「は……はい!?」

 エリカはかつての教授の名を聞き、思わず声をあげる。

「信じられないだろう……、だけどこれは事実なんだ。オーキド博士はエンジュ大とタマムシ大の教授……、どうしてタマムシを拠点に選ばなかったかまでは分からなかったけど、ともかくエンジュを舞台に選んだんだ」

 マツバは淡々と話す。

「ば……馬鹿げてる! 博士がロケット団と組むなんて……!」

 レッドは大いに憤慨する。恩師が悪の組織と手を組むことなどレッドには信じがたいことであったからだ。

「僕だって最初は受け入れ難かったさ。でもね、信じざるを得ないんだよ……、20日の件を見るとね」
「……、どういう事です?」

 エリカは更に尋ねる。

「昨日、エンジュ大学でオリエンテーションがあった。そこで集団催眠機とやらをつかって参加した生徒からおよそ5000匹を催眠でかっさらったのさ……!」
「証拠は……あるんですか?」

 レッドは怒りを殺しながら冷静にマツバに尋ねる。

「証拠……、残念ながら僕の頭の中にしか確たる証拠は無いね。ただ、この事について僕自身が精査した資料ならあるよ」
「そんなの証拠と言えるのですか! 所詮はマツバさんの千里眼。超常現象によって得れた物! そんな
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