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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第六話 二つの巨壁
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 エリカは肩を落とす。

「歴史でやった記憶あるなぁ……。つかなんで焼けたの?」

 レッドは尋ねる。

「一人の僧侶が、カネの塔に対する美に自らの病状や生い立ちを重ね、憧れと反感で放火したと三島由紀夫氏は言われてますが、実のところは分かっていないそうですわ。なにしろ、そのお坊さんは真相を聞きだす前にお亡くなりになられましたからね」

 エリカの説明にレッドは納得している。

「なるほどね。にしても見事に焼けてんな」
「はぁ……焼けていても中には貫と呼ばれる伝統工法などがあるというのに……。残念な限りです。しかし、これだけではありませんわ!、スズの塔に参りましょう。エンジュのジムバッジを持っているのである程度中には入れるはずです」

 そういう訳で2人はスズの塔へ向かった。

―スズねの小道― 

 入り口を通過し、紅葉……ではなく緑の木の葉が舞う小道に通りかかった。
 今日の風は少し強く、葉が一層舞っていた。

「うーん……、時期が悪かったですわね。秋ならばかなり美しいのですが……」

 エリカは大いに残念がった。

「いやー、これはこれで十分綺麗だと思うよ」
「貴方は秋のここに来た事が無いからそのような事がいえるのです」

 エリカは語気を強くして言う。

「あー……分かった分かった」

 エリカと論争しても勝てるはずがない為、レッドはすぐに引く。

「ところで貴方。スズの塔の本当の名前、ご存知でしょうか?」

 エリカはレッドに尋ねた。

「え?銀閣寺だろ?」

 レッドは自信満々に答える。

「よく知られている名ですわね。では、もう一つの名前は?」
「は? それはーあれだ……」

 レッドが苦心しているとどこからか声がする。

「慈照寺、もしくはスズの塔単体で表すなら、銀閣」
「せ、正解です!、どなたでしょう?」

 エリカは狼狽して、キョロキョロと周りを見る。
 その時、小道の脇の木から黄色の髪、紫のマフラー、暗色系の服に身をまとった青年がやって来た。
 目鼻立ちは整っており、その上どこか余裕をもった据わった目。身長はレッドと同じか少し大きいくらいだ。とにかく容姿端麗という言葉が似合う青年である。

「フフフ……、やはり、エンジュシティはこういう教養のある人にこそ来てもらいたいものだね。おっと、自己紹介が遅れた。僕の名前はマツバ。エンジュシティのジムリーダーだ」

 マツバと名乗ったその男は2人の真ん中付近にまで近づく。

「流石ですわ……、(もっと)も、貴方ほどの人ならば常識でしょうけど」

 エリカは感じ入ったような声で言う。彼女の発言にレッドは引っかかる。

「どういう事?」
「あら、ご存知ではないのですか? マ
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