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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第六話 二つの巨壁
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ど、あいつどうやら……」
アカネはそう言うと、エリカに気取られないようにする為か指の第二関節を曲げて近づくように伝える。
―――――――
「え!? それって……」
「アホ! デカい声だすな。……、あくまで風の便りやけどな。マツバ以外のうちらジョウトジムリーダーの中ではもうジョーシキなりつつある話やで。気ぃつけときな。他はええとしてもあいつはうかうかしとると……」
アカネが次の言葉を言おうとしたらエリカが戻ってきて
「ふう……だいたい近くのところは見ましたわ。あら、お二方どうされたのですか?」
「い。いや何でもあらへんで! な?」
アカネはそそくさにアイコンタクトを取る。
「え、あ、うん。ただ世間話してただけだ」
レッドはアカネの話に合わせた。
「左様ですか。はぁそれにしてもエンジュシティは相変わらず素晴らしい街ですわ。なんとも知的好奇心をくすぐられます」
「そりゃ良かった……。じゃあそろそろポケセン行こう」
という訳で三人はポケモンセンターへと向かう。
その後、三人はエンジュシティのポケモンセンターで一泊した。
―3月21日 午前8時 ポケセン前―
アカネは大学に行く前に、2人に別れを告げる。
「ほな、うちエンジュ大に行くわ。エリカ、色々ありがとな、ウチ楽しかったし、ホンマ感謝しとるんよ!」
「私如きで一助になれたのなら本望です。大学、頑張ってくださいね!」
エリカは屈託の無い笑顔で微笑んだ。
「あぁ、レッド! 次会うたら負けへんから覚悟しとき! 今度こそしばきまわし……あかん、時間あらへん! ほなまたな! エリカ! レッド!」
「また会う日まで、ごきげんよう」
「じゃあ……って、おい! 別れの言葉はそれかよ! ざけんなー……」
レッドはアカネが飛び込んでこない距離になるのを確認してからそう叫んだ。
こうしてアカネは去っていく。
「ハァ……やれやれ。エリカ! ジム探すぞ! まずはジム戦だ!」
レッドはようやくじゃじゃ馬がいなくなった事に、安堵の表情を浮かべながらそう言った。
「ここのリーダーはマツバさんです。中々に素敵な殿方でしたけれど、少しオカルティックな部分も見受けられますわね」
エリカがマツバに対しいい印象を持っていることに少々身震いを覚えながら、ジムに向かう。
―午前9時 エンジュジム前―
さて、エンジュジムに着いたはいいが、あまり人の気配がしない。
いくら朝方とはいえ、
疎
(
まば
)
らにすぎる人通りに本当にジムなのか疑っていると、マツバ
揮毫
(
きごう
)
の物と思われる張り紙があった。
―長く修業の旅に出ます。 探さないでください。 マツバ―
「なんじゃこりゃ!
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