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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第六話 二つの巨壁
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ある。
「そういえば朝ごはん食べていませんでした。ここはお言葉に甘えましょう」
「そうだな」
「それにしてもここまで来たか……。バッジは何個集まったかの?」
ヤナギが二人に尋ねる。
「4つ。正確には12個です」
レッドはキレのある声で答える。
「フム、これがもし初心者だったら、挑戦は断ったが……、レッド君。君とは一戦交えて見たくてのお。老体ながら首を長くして待っとった」
ヤナギは杖を前にやりながら言う。
「そうですか」
レッドはヤナギの一挙一動に他とは違う威厳を感じ始めている。
「ですってあなた。ヤナギさんから期待されてるようですよ!」
彼女は夫が期待をかけられて嬉しいのか調子のいい声で言っている。
「いや、エリカ女史。女史の実力にも期待しておるぞ」
「え? 私も、ですか?」
エリカは自分のことまで待ち望まれているとは思わなかったのか、意外といわんばかりの表情になった。
「ここまで一緒に旅路を共にして来たということは、女史の如く既に出来た方に言うには過ぎた事かもしれぬが、人間的にも、そしてジムリーダーとしても成長してきたということじゃろう。君たち夫婦の実力、この年寄りに見させてもらおうかの」
この物言いにレッドは更に自らを引き締める。自らの対峙する相手は予想以上に大きい。
「まー今は積もる話はぬきじゃ、ますはあの漁師の朝餉をごちそうになろう。あいつの作ったテッポウオの刺身は美味いぞ!」
ヤナギは、俄かに表情を明るくした。なるほど、普段は好々爺な性質なのだろう。
レッドは腕でせっついてエリカに朝餉とはどういう意味なのか小声で尋ねた。
エリカが答えようとすると先んじてヤナギが答える。
「朝飯の事じゃ」
「え!? 聞こえてたんですか?」
レッドは有り得ない事態に狼狽していた。
「わたしもかつてはキョウの師匠だったのだ。滅多な口はたたかんほうがよいぞ。カッカッカ!」
レッドはヤナギの常人離れした身体能力に底知れぬ恐怖を一瞬だけ覚える。
漁師の家で朝餉を食し、チョウジタウンへ戻った一行。だが、正直レッドは朝ごはんの味など大して記憶に残っていない。
―午前9時 チョウジタウン ポケモンジム―
「さて、改めて。このチョウジジムリーダーのヤナギだ。私は君たちよりも何倍も歳月を重ね、ポケモンとも接してきたつもりだ。冬のヤナギ、ヤナギに雪折れなしと恐れられし私の実力。二人は果たして破れるかどうか楽しみだのう。では参ろうか……。行け! ジュゴン! ユキノオー!」
ジュゴンとユキノオーは堂々とフィールドに姿を現す。
二人はポケモンのレベルに愕然とする。
「レベル94と96……?」
これま
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