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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第六話 二つの巨壁
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すわね」
とエリカは溜飲を下げたため、レッドは胸を撫で下ろす。
その後レッドはこうなったら自棄だとばかりに彼女に尋ねる。
「で、お前さっき何してたの? ペン持ってるけど……」
それを尋ねると彼女は恥ずかしそうに手を後ろにやり
「え!? そ……それはですね……」
彼女はにわかに赤くなる。赤くなるようなことをしていたのかとレッドは次の発言に期待を高める。
「に……にっきです!」
彼女は搾り出すような声でそう答えた。
「日記ぃ? なんでそれでそんな赤くなってんだよ……」
レッドは半ば落胆しながら言う。
「その……とても他人に見せられないようなことばかり書いている故」
「日記ってそういうもんだろ」
「殿方にはご理解頂けなくても仕方ありませんわね……。百聞は一見に如かず。露見したからには潔く、貴方にだけお見せします。いずれこのような日が来ることは承知していましたし」
と言ってレッドはエリカから先ほどの手帳(日記帳)を受け取る。
非常に端正な字で書かれていたが、一目見ただけでパタンと閉めた。
「えぇ!? どうして読んでくださらないのですか?」
「いや……お前……確かに日記だから自由なんだけどさ……。まずこれなんて読むの?」
と言いながら、まず最初に目に付いた「私か」という漢字を指差す。
「これは、『ひそ(か)』と読みますが……」
「そうか、んじゃこれは?」
次に「瀟洒」という単語を指差す。
「『しょうしゃ』ですが」
「こりゃ別の意味で他人に見せられんな……。マツバさんくらいしか読める人居なさそうだわ」
と後半は小さくつぶやく。
「あの、どうしてそこでマツバさんが」
「いや、気にしないでくれ……。同じ日本語なのにここまで苦戦するとは思わなくてさ……。ところで日記っていつからつけてんの?」
「母上に勧められてからですから……13年ほどでしょうか。家に戻れば全部取っておいてありますわ」
13年。エリカは現在20歳だから7歳の頃から書き続けてきたということである。
「それって……毎日?」
レッドは恐る恐る尋ねる。
「用事があってどうしても書けない日も少なからずありましたが、9割ほどの日は書いていると思いますわ」
「そか……凄いな。んじゃ俺もう寝るわ。エリカもほどほどにして切り上げろよ」
と言ってレッドは床につこうとする。しかし、ふと日記帳をあげられて何も無いはずの机にまだ一冊同じ大きさの手帳らしきものがある事に気づく。
「どうかなさいました?」
「いや、何でも……おやすみ」
と言ってレッドはベッドにつく。時はもう0時近い。
その後もエリカの観察を続け、もうひとつの手帳に注目す
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