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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第六話 二つの巨壁
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や。
「うわっ!」
どうしたことというのだろう。彼女の背中。玉のような素肌と下着が透けて見えたのだ。あまりのことにレッドは仰天し、思わず声をあげ、図鑑をベッドに落とす。
彼女もにわかに声がした為、彼を呼びかける声をあげたと共に後ろを振り向く。
レッドはしまったと思ったがすぐに
「い、いやなんでもないよ。なんでも……」
と、冷や汗をかきながら答える。
「どうしてお立ちになられているのですか?」
彼女は純粋な疑問で尋ねている様子だ。よほど彼女も驚いたのだろうペンは持ったままだ。ペンというより近くで見ると万年筆である。
なんと弁解しようか考えているとエリカのほうは開きっぱなしの図鑑が落ちている事に気づいたようで手に掛ける。
レッドはすぐに気づく。彼女は今レッドの前にいる。彼女の背中が見えたということは、あの状態のままカメラをレッドの前に向けるという事はつまり―――
そんな事態はすぐさま阻止せねばならないと思い立ち、ストライクもびっくりの速度で図鑑をひったくるように取り返す。
幸い彼女の方は何も見えていなかったようで当を得ない表情をしている。
「あの……、一体全体何が起こっているのかさっぱりなのですが」
「い、いやーあのさ。ピカチュウって種類によっては頭頂部に一本だけ違う色の毛があると図鑑にあったから俺のもそうなのかなーなんて思ったから出して確かめようと思ったんだよー」
明らかな棒読みの上、今考え付いた全くのでっち上げである。そしてそんな言い訳でタマムシ大学生物学部首席をごまかせるはずがなかった。
「何を仰せになられているのですか? ピカチュウは、特にトキワの森のような場所で捕まえられるものは交配できると思われる個体はおのずと限られます。あの森に特異種があったという報告は寡聞にして……」
と生物学的見地から数分ほどそのようなことはあり得ないという事を話された。
「ハハハ……そうなんだ」
エリカは非常に可愛らしいとは思ってはいるがこのように、殊に学問に対して理詰めなところはどうも慣れないなとレッドは思っている。
「そのような事実無根の
謬説
(
びゅうせつ
)
がポケモン図鑑に載っているとは甚だ遺憾ですわ! 明日ポケモン研究会に抗議のお手紙でも出そうかしら……」
エリカがあまりにも思いつめた表情だった為、レッドは本当にやりかねないと思い、
「わー! やめろやめろ! え、えーと……。これはあれだ。俺が小さい頃読んでいたポケモンの本に書いてあったことで……図鑑っていうのはただの思い違いなんだよ」
と大慌てで訂正した。このような事が知れ渡り真っ赤な嘘と知れ渡れば数日は表を歩けない程の大恥である。
「小さい頃……ですか。流石にそれならば時効で
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