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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第六話 二つの巨壁
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終える。


―午後5時 スズの塔 関所前―

 2人は次のジムをどちらにしようか迷っていた。

「どちらにしましょう?」
「うーむ、ヤナギってどんな人なの?」
「素敵なおじ様です。氷タイプの使い手という看板に従ってかクールな御仁ですよ。そして、ポケモンバトルはとても強く、一部では四天王並みという御声さえ聞こえます」

 レッドはエリカのその言葉に興味を持つ。

「フム、面白そうだ!チョウジへ行こう!」
「宜しいのですか?」
「そんなに強いというのなら戦うしかない!」

 それと共にレッドの心中には、強敵を打ち負かしてエリカに自らへの好感を上げようという目論見もある。

「貴方らしいてすわね。そこに私は……」

 エリカは何か言いたげである。

「え?」
「いいえ、何でもありません。そうしましょう!」

 しかし、この日はもう夕刻となっていた為、ポケモンセンターに宿泊した。

―午後11時 ポケモンセンター 211号室―

 いつも二人が寝るときは大体レッドのほうが先に寝ている。
 エリカについて少々懐疑的になりはじめていたレッドは彼女の真情を探りたいという一心で自らが寝ているとき彼女は何をしているのか。
 そこから少しでも彼女の感情を読み取れないかということを考えつきレッドは寝たふりをして様子を伺っていた。

 レッドは毛布に身をくるませ目を閉じたフリをし、彼女の視線とは正反対の方向で横になっていた。
 寝ると告げてから数分。夫が寝たと見たのか彼女は鏡台の明かりをつけた後に部屋の電気を消して鏡台に向かい、椅子に座った。
 その後は数十分ほど読書をしていたようで大した事となさそうだとうつらうつらとレッド自身も眠りにつこうとしていた。
 しかし、その後彼女は読んでいた何やらむつかしい本を閉じ、A4ほどの分厚い手帳らしきものを取り出しペンを執りはじめる。本を読んでいたときのようなゆったりとした感じとは違い、背を丸めかなり真剣な様子である。
 これこそに彼女の真情が書かれているのではないかと彼は勘付き、しばし逡巡(しゅんじゅん)したがそのうちどうにかして彼女にばれないように中身を見れないか思案した。
 しばらく考えた後図鑑のカメラを使うことを思いつく。
 図鑑のカメラには観察用にズーム機能が搭載されている。幸い手帳らしきものの一部が彼女の体より横に見えている。彼女は一心不乱に書いている様子でそうそう気づく事は無いだろう。立って離れた場所から見ることはそれほど難しい話ではない。
 思い立ったが吉日とばかりにおもむろにゆらりとレッドは立ち上がり、彼女の後ろで図鑑を構える。バネの音がしたが幸い彼女には気づかれていない様子だ。
 彼女をフォーカスに捕らえ、ズームボタンを押した……と思いき
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