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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第五話 茜の空
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があり、丁寧に管理された草むらや植栽など、全体的に上品な雰囲気でエリカ好みの場所である事は明白だった。

「やろ? エンジュとコガネの共同設計やねん。エンジュの叡智とコガネの技術が合わさった一つの作品ともいっていいかもしれへんね」

 アカネは得意げに言う。

「確か自然公園の制定は4,5年ほど前でしたわね。アカネさんも何かしら関わったのですか?」
「ウチは宣伝部長として数年前頑張ったんやで!」
「まあ。左様にございますか……。さぞかしご苦労があったでしょうに」
「なになに。ウチにかかればそんなもんお茶の子さいさいやっちゅーに!」

 アカネは朗らかな調子で話し続ける。この突き抜けた明るさは彼女の特徴と言える。

「因みにマツバも公園全体の構想やら何やらに関わっててな。そこから仲良くなったんよ」
「なるほど……。学業にジムリーダー。両方励んでいらっしゃるようで、私としても嬉しい限りです。ところで……」

 エリカは膝をややアカネ側に向け、手もそれに連れさせる。本題を切り出すかのような口調で言い、アカネの反応を待つ。

「ん? 何やね?」
「単刀直入にお伺いいたしますが……。ツクシさんの事、どう思われてます?」
「え!? そ……そら、友達の……一人やけど?」

 アカネは急な問いかけに驚いたのか、他意があるのか定かでないが先ほどよりは大分声を小さくして答える。

「随分と声が小さくなりましたね」

 エリカはすかさずそこを衝いた。

「友達や言うとるやろ!」

 アカネはそれに対し、取り繕うとしたのか声をあげて返した。

「声を荒げても私の目はごまかせませんわ。伊達に男子禁制のジムを営んでませんから」

 しかし、エリカは沈着に返す。

「う……。そ、そんなん知らへん! 友達や、友達!」

 アカネは逃げ切ろうとした。が、一度網にかかった虫の抵抗など儚きものである。

「あなたがツクシさんを褒めたり貶してたりしてたジム戦の時までは、そういう風に流してました。しかし、ゲートの時、ツクシさんがはしゃいでいらした時のあなたのお顔。貴女は気付いておられなかったようですが、頬が必要以上に紅潮しておりましたよ? 明らかにお友達を見てる顔ではないです。下世話な言い方ではありますが、男を見ている顔でしたわね」

 エリカの緻密な分析にアカネは黙るしかない様子だ。

「正直になられたらどうです?」

 しかし、アカネは窮したままで、顔を赤くしたまま口を真一文字に結んだままである。

「寵辱には驚くが如し……。自らをそうやって偽り続けたままでいらしては、自らに正直であれというこの老子の教えも意味を為しませんわ。貴女は自らの心に背を向け、逃避し続ける……、その為に勉強をしてこられたのです
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