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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第四話 氷鳥と黒白の衣
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まないね、ワタル君。ワシは悪気はなかったのじゃ」

 博士は恭しく頭を垂れながら謝意を示す。

「……、博士の顔に免じて今回は厳重注意ですが、今後同じようなマネをしたらどうなるか分かりますよね? 気をつけて下さい」
 
 ワタルはこうして去っていく。

―――――

 午後7時、研究員が誰もかれも立ち去った後、オーキドはある人物と密会していた。

「全くつまらぬ事で騒ぎ出すのう、理事長とやらも……、のうサカキ殿」

 オーキドはテープレコーダーに記録していたワタルの声をサカキに聞かせていたのだ。

「その通りだな。オーキド殿」
「じゃが。こうなった以上、この手は使えん、次の一手を打たねばならぬの」
「うむ。この間来ていた、変な髪型の研究員に依頼していたアレを使うのか?」
「いつ出来上がるかによるの。じゃが、所詮は搦め手じゃ。本丸は別にあるしのう」

 オーキドは老獪な笑いをしながら言う。

「我々は必ずや四年前……いや前年の雪辱を雪いでみせる! オーキド殿、頼んだぞ」
「分かっておるわい」

 こうして、夜中までその人物との会合は続くのであった。

―2月18日 午前7時 ヨシノシティ ポケモンセンター―

「あなた、朝ですわよ!」

 エリカに体を拒まれ、子どもじみた不貞寝の体を取りながら考えているうちに彼は眠りについていた。
 朝になるとレッドは滑らかな声で割烹着姿の彼女に起こされた。

「ん……、ああ、おはよう」

 レッドは静かに上体を起こす。揺さぶっていたのだろうか、胸のあたりに彼女の手がある。

「おはようございます。朝食の支度が出来ていますから、お顔を洗われましたらテーブルについてくださいね」

 彼女はレッドに微笑みをうかべた後、そそくさに彼の元を離れようとする。
 昨日のことなどまるで忘れてしまったかのようにそつなく家事をこなしているようだ。焼き魚だろうか、ほどよく焼けた香りが彼の鼻腔をつく。

「なあ、エリカ」
「はい?」

 彼女はレッドの方に体を向ける。
 レッドは昨日の件について尋ねようとした。しかし、彼女が敢えて気にしない素振りを見せているのだとしたらと思い始め

「顔……洗ってくるわ」

 と適当な用事を思いついて彼はわざとらしそうにあくびをして洗面所の方へと向かう。
 彼女の方は少しばかり当惑気味になりながら受け流した。
 その後、彼らは朝食を済ませ、ヨシノシティを発つ。

―午前9時 30番道路―

 この日は少々雲がある晴れで、北風が吹きつけなんとも真冬らしい気候となっていた。
 二人は話をしたり、しなかったりとしながら野生のポケモンとも戦って北へ北へと進んでいく。

「次のポケモンを倒したあたりでヒノ
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