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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第四話 氷鳥と黒白の衣
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「ヨシノか。あそこは春行くと桜が綺麗なんだけどね。それはともかく、次のジムはハヤト君か……。君なら難なく倒せそうだけど、まあ頑張ってよ」
「何か知っている事ありますかね」
「ここだけの話、彼は父親からリーダーの職を譲ってもらったばかりなんだ。まだ確か9か月とかだったかな」
「新人なんですか……。の割にはエリカは知っていましたけど」

 レッドは純粋な疑問をぶつける。

「譲る前からお供として何度か定例会には顔を出していたからね。ところで、彼、相当にエリカ君の事気に入ってるらしいから、あまり仲の良い所みせつけると癇癪起こすかもよ」
「う……肝に銘じます。ところでさっき難なくって言ってましたよね? ハヤトさんの強さはどんなものなんです」

 ワタルは数秒ほど間を作り、数回咳払いをした後

「と、鳥使いとしては相当だと思うよ。彼の芸は何度か見させてもらったけど本当に鮮やかだったし」
「あの、ポケモンの強さを聞いてるんですが」
「おっと、もう帰る時間だ! じゃあねレッド君! エリカ君にも宜しく。あ、あとポケギアの番号教えとくね。エリカ君にも一応回しておいて」
「は……はい」

 レッドはハヤトの強さに疑問符を抱きながらポケギアの番号を書き取り、通信が切れた後に受話器を置く。

「貴方、どちらからでした?」

 割烹着を着たエリカが鍋に食材を入れながら台所より尋ねる。

「ワタルさんからだよ。どうやらあの手紙は嘘っぱちだったようだ」
「私の見立て通りでしたわね」
「うん。ところでさ……エリカ」
「はい?」

 レッドは半ば意を決しながら尋ねる。

「ハヤトさんって、強いの?」
「私、苦手なタイプの方と戦ったことはあまり無いもので……」
「そ、そうか……」

 レッドは顔を曇らせる。

「ただ、ここ最近ハヤトさんのご様子がおかしいとのお話は耳にしますわね。詳しくは存じ上げませんが」
「なんじゃそら……」

 その後、レッドはポケモンの世話をし、やっているうちに料理が出来上がる。

―午後7時ごろ―

 エリカの作った夕食はモツ鍋におひたし、きんぴらごぼう等々となんとも彼女らしい野菜中心の食卓になった。
 食卓にはレッドとエリカの他はポケモンたちが居る。

「お……おお」

 しかし、レッドは息を呑んでいる。
 なにしろ、料理が尋常でない程に美味しそうなのだ。例えばおひたしはほうれん草の深緑がとても色濃く出ており、上の鰹節とよく合っている。
 隣に居るピカチュウ等の手持ち達は早くも涎を垂らしていた。

「鰹節は本来ならば市販の物は使いたく無かったのですが、生憎削り器が無かったもので……。て、貴方、聞いておられますか?」
「お……、お前、どこでこんな腕を……」

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