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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第三話 新天地ジョウト
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ティングしたいくらい……」
 
 博士はさらりととんでもない事を言った。

「タマムシ大の首席!?」

 タマムシ大とは現実世界でいう所の東京大学の立ち位置にあたる。
 内国における主に理数系の学問の頂点で、出るも入るも至難の業であり、入っただけでもエリート確実である。
 エリカはその生物学部植物科の首席にして最年少卒業者。

「あの……夫が完全に焦点を失ってるんですけど……」

 レッドはエリカの輝かし過ぎる功績を聞き、目をくらませている様子だ。
 エリカはそれに対し、少々レッドの事を気にかけながらウツギに言っている。
 
「まあ。君の持っている名誉はそれだけの価値があるって事だね」

 ウツギは苦笑いしながら言う。仕方がないと思ったのか、博士はレッドのフォローにかかる。

「いや。レッド君、君の持つ称号だって凄いさ。何しろカント―の頂点だからね!」
「そうですよ! 私がどんなに本気を出しても貴方には勝てませんから!」

 レッドは完全に負い目を感じてふさぎ込んでしまった。

「それでも。タマムシ大のそれに比べたら……だけど」
「博士! 励ましたいのか貶したいのかハッキリしてください!」

 エリカは鬼気迫る表情でウツギを牽制する。そして、ウツギの言った何気ない一言がレッドの傷を深めた。
 レッドを励ますのには5分ほどかかり、ようやく機嫌を直す。

「そうだよな!俺はカントー最強のトレーナーなんだ!」

 レッドは半ば自己暗示気味にそう思う事にした。

「そ、そうだね!」
「機嫌も直されたようですし、研究所に入りませんこと?」

 エリカは胸を撫で下ろしながらウツギに提案する。

「そうだね。そろそろ日も上がってきたし」

 という訳で二人は研究所の中に入った。

―ウツギポケモン研究所―

「結構広いんですね」
「まあ、蔵書も沢山あるしね。人によってはウツギ図書館と名を変えるべきだ! なんて冗談も聞いたりするし」

 ウツギは笑いながら二人を連れて先に進んでいる。

「まあ……。あら、TEM(透過型電子顕微鏡)ですわ! 斯様な貴重な物一体どのようにして……」

 エリカは思わず近くにまで駆け寄り、半ば感動しながらTEMを見る。操作している研究員は彼女の咄嗟の行動に少しだけ驚いた様子。

「ああ、あれは僕が独立した時にオーキド博士から餞別だと言われて頂いた物でね。確か2700万円とか言ってたような……」

 そんなこんなで二人は話し込んでいる。


 一方、レッドは汗牛充棟とばかりに犇めく書物の後ろに何かの端があるのを目敏く見つける。
 レッドは訝しげに思い、ウツギに見つからないよう慎重にその端をとってみる。
 その端の正体は本であった
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