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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第三話 新天地ジョウト
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ね。順当に行こうとすれば最初はやはりアザキシティの、ミカンさんが最初の御相手になるかと」
「ワタルの言っていたあの人か……どんな人なの?」

 レッドは珍しい鋼使いという事に興味を持っていた為、改めて尋ねる。

「全国最年少でジムリーダーになった人です。12歳という私より二歳若い年齢でジムリーダーとなり、最初は岩タイプでしたが今は鋼タイプというタイプに変えていますわね。私ともそれなりに親交がありますよ。御年の割りには礼儀正しく良い子です」
「ほぅよく知ってるねぇ」

 彼は先ほどからの彼女の博識ぶりに感心しきっている。

「ジョウトのジムリーダーの方々とは定例会でよく会いますからね。しかも合同研修も良くありますから互いのジムリーダーがよくお互いを知ってると思いますわよ」
「エリカなんかは有名そうだな。その才色兼備なところ、全国のリーダーの目標の一つになってもおかしくなさそう」
「まあ貴方ったら……。褒めても何も出ませんわよ」

 エリカは照れて赤くなった頬を手で押さえながら言った。

「いやー、冗談抜きでそう思う」

 実際、この感想は心の底からのものである。

「何故でしょう、他の方から同じような事を言われても心がそれ程高揚しないのに、どうして貴方に言われると……」

 エリカは言葉に詰らせた、というより、言うのを躊躇している様子だ。

「おいおい、その先はどうしたんだ?」

 レッドは分かっているにも関わらずいたずら半分にそう言う。

「……、貴方! あっ、そんな事よりも、もうジョウトが見えていますわよ!」

 エリカはレッドの言葉を無かった事にしようとしたのか、話を逸らす。
 なるほど、見計らったかのように窓の先には紀伊半島の西側が見えている。アサギ港まではもうそこまで距離は無い。
 レッドはずっこけたが、同調した。

「あれが俺とエリカの新天地だ!共に頑張ろう」
「はい、貴方!」

 エリカはしっかりと明瞭な声で答えた。

「……」

 あまりにも健康的な声だったので、レッドの心には邪心が芽生えだす。
 もう、事を起こすには頃合いではないのかと彼は思い始めている。

「貴方? どうされました?」

 黙してしまったレッドに違和感を覚えたのか、エリカは心配そうに尋ねる。
 レッドは少々黙したのちに、いやまだ早いなと思い直して

「いや、なんでもな……」

 と答えようとした時、野太い声が響く。

「レッドさーん!あと30分ほどでアサギにつきますのでそろそろ御支度を!」

 ノックをしたのち、船乗りと思われる人物が大声でそう言う。親切な個別アナウンスである。

「了解です!」
「準備を進めなくては。貴方、まずはベッドを直しましょう」


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