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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第三話 新天地ジョウト
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校以来の事であったため僥倖の限りの心境である。
 その後、二人は備え付けの丸テーブルの上に箱を置き、向かい合って座った。

「どれ、早速開けてみようか……」
「左様ですわね」

 という訳で、エリカは率先してリボンを解き、包み紙を丁寧に広げてみせた。
 その後、彼女はリボンを触りながら

「ベルベットのリボンとは……。年端もいかない子どもからの贈り物にしては、中々に上質なものを使いますわね」

 と静かに微笑んだ。

「は?」

 レッドにとっては聞き覚えのない単語なので思わず聞き返す。

「織物の一種です。古来より肌触りの良い物として重宝されてきたという歴史を持っておりますわ」

 エリカはリボンをレッドに手渡しながら手短に説明した。

「わ……。確かに触っていると心地良くなりそう」

 レッドは滑らかなその触感を楽しんでいる様子である。

「その感触から、滑らかに事が進む事の例えにも使われたりするのですが。ま、余計な話はともかく……」

 エリカはレッドに目配せする。

「ん? ああ、開けなきゃね」

 という訳でレッドは箱の上ぶたに手を遣って、開いた。
 中には手作りと思しきチョコレートが個包装で10個程入っている。ふちがいびつであったり、上に書いてある文字が歪んであったりと傍目からも手作りである事を物語っている。

「まあ、何とも子どもらしく、可愛らしい出来ですわね」

 エリカはそう言いながら、母親の如き笑みをうかべた。

「そうだな。さて、味はどうかな……」

 レッドは一つの包装を手に取って、包みを解いて食す。
 そうして舌鼓を打っていると、レッドはチョコには一切手をつけないエリカに気付く。
 不思議に思ったレッドは
 
「あれ、エリカ食べないの?」

 と尋ねた。それに対しエリカは少しばつの悪そうに

「私、洋菓子はあまり……」
「なるほど、らしいな」

 そう答えながらレッドは更に食べ進める。
 エリカは箱の中に入っていた一つの色紙に気づく。
 
「あら、寄せ書きみたいなものも入ってますよ」
「ほぅ」

 レッドは関心を示し、寄せ書きの一つ一つを黙読した。
 そうしていると、度々散見する『ハヤト』の名に気付く。

「ハヤトって誰?」
「キキョウシティのジムリーダーです。ジョウトでは高名な鳥使いで、伝書鳩コンテストであの人のピジョットが一位だった事もあるんですよ! 1番目のジムリーダーで初心者向けのリーダーとも言えますわ。飛行タイプに誇りを持っている心身深い人です」
「ふーん……キキョウはタウンマップで見る限り遠そうな所だから行くのはだいぶ先になりそうだね」

 レッドは軽く関心を示しながら答えた。

「そうです
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