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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第二話 それぞれの別れ、そして出港
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 レッドはエリカにリザードンを渡した後、寝床に戻り旅の支度をする。

―2月10日 午後3時 シロガネ山 某所―

「案外散らかってんな……よし片付けよう」

 自分でとってきた食料や調理本、ラジオなどが散らばっており、片付けるのに少ばかり時間がかかってしまった。
 そして三年間を過ごしたシロガネ山ともいよいよ別れを告げる。

―シロガネ山 入口―

 レッドは三年ぶりにシロガネの入り口に立つ。

「出てこいお前達っ!!」

 カメックス、フシギバナ、ラプラス、カビゴン、ピカチュウ等などと主に鍛えたポケモンを繰り出した。中々に壮観である。
 リザードンを含めた六匹はレッドが無名だった頃より連れてきた、糟糠の妻ならぬ糟糠の戦友である。

「いよいよシロガネ山ともお別れだ。敬意をこめて深々とお辞儀をしよう」
「マジすか、マスター」

 カメックスがまず口を開く。手持ちの中では首領格だがやはりレッドの前では礼儀正しい。

「あれ、リザードンの奴どこ行ったの?」

 フシギバナが続いて尋ねた。

「ああ、あいつならエリカに預けた」
「マスター、エリカってあの俺にとって苦々しい」

 レッドは対エリカ戦の時、最初のターンだけ奇を衒って氷技を使おうとしてカメールを出していたのだ。その記憶がまだカメックスにこびりついていたようである。

「忘れろ」
「はい」

 レッドは一言でカメックスの口を(つぐ)ませた。

「ほほう、レッドがとうとう童貞卒業かぁ、俺としても嬉しい限り」

 フシギバナは最初からいたので一番レッドに馴れ馴れしい。手持ちとはいえポケモンにこんな事を言われたので、意地を張ったレッドは声を上げて

「だーっ! もういいからお辞儀しろよ! あとおい、カビゴン! 寝てんじゃねえ!」
「ピカピー……」

 ピカチュウはレッドに構ってもらえなかったので寂しそうだ。いつもあげている尻尾を地に垂らしている。

「よしよし……。全くマスターってば先輩ほったらかしにして……」

 ラプラスは電気が流れていないピカチュウの頭を撫でる。

「チャー!」

 励ましてくれたラプラスに謝意を伝えようとピカチュウはラプラスに擦りつく。
 が、擦りついた際電気袋がラプラスの腹に当たってしまい、

「うわっ! 先輩ってば、しびれちゃうから! ね! やめ……」

 電流に耐えながら、ピカチュウに止めるように促す。

「ピカー……」

 ピカチュウはラプラスに頭を下げるのだった。カビゴンはぐーすか寝ている。
 なんやかんやあってその後、数秒間頭を垂れた。

 シロガネ山を離れたレッドはピジョットに乗ってマサラタウンへと向かった。
 第二の旅路の報告である。

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