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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第二話 それぞれの別れ、そして出港
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た態度がわずかに崩れたのか、顔を紅潮させている。
「ま、まあ伊達にカントーの頭やってるわけじゃないからね!」
ワタルはエリカに褒められたせいか否か、大いに上機嫌になっている様子だ。
「なるほど……、ならばマチスさんも同様に褒めて見て下さります?」
「えっ?」
ワタルは目を白黒にさせる。
「私、理事長のどこまでその観察眼が本当の物か、是非見極めてみたいのですわ!」
「う……。そうだね、マ、マチス君?」
ワタルは面食らいながらも、言ってしまったことは仕方ないとばかりにマチスの方に体を向ける。
「ホワット?」
「マチス君、君はとても勇敢で、その軍才は」
ワタルが途中まで言ったところで、滑稽に思ったのかマチスは高笑いをする。
「HAHAHA! このガイ、ミセスエリカのいうトーリにしてるよ! ココロにもナッシングな事をイってファニーだネ!」
「せ、折角褒めてるのにその言いぐさ……。無礼だとは思わないのか!」
ワタルは遂に声を荒げてマチスを叱りつける。マチスは大いに溜息をつき
「フン。人で態度をチェンジするだなんて、ボスのする事じゃないネ! ミーの国ではそーいうのトゥーフェイシーズ(八方美人)言いますネー!」
マチスは散々嫌味ったらしくワタルを挑発している。
「い……言わせておけば」
だが、ワタルは公衆の面前だからか、はたまたエリカの手前だからか定かでは無いが堪えている。
エリカはそれを凍てつくような視線で見つめる。
「ワタルさん!」
レッドは気付かせるかのように、ワタルに声をかける。
「クッ……。ああ、ごめんごめん」
そう言ってワタルは二人の方向に向き直る。
「君たちはポケモンリーグの誇りだ! これが達成されれば君たちは必ずや歴史に残る夫婦となる。だけどね、それだけでなく全国各地の風景や情景も楽しみ、味わって、色々な物を吸収し、大いに成長して還ってきてくれ。これがセキエイリーグ……否、全国のポケモンリーグの総意であり、僕の大きな願いだ」
ワタルはレッドにしっかりと目を合わせ、語りかける。これはエリカというよりもレッドに向けての意味合いが明らかに強いように見えた。
「はい!」
「必ずや御意のままに!」
レッドに少し遅れてエリカが言った。
「うん……。それじゃ、もうすぐ船の時間だろう。達者でね、レッド君、エリカ君!」
「はい。色々と有難うございました!」
レッドがまず礼を言い、別れを告げる。
「理事長……」
エリカが途中まで言ったところで
「エリカ君。君と俺は代理を立てたこの時点ではもう上司と部下の関係じゃない。君の律儀な所はよく分かるけれど……その呼び方はよしてくれ」
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