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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第二話 それぞれの別れ、そして出港
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を愛する心は私と同じものです。それに、皆にも好かれていますし、何より邪心のないその清く明るい心を買ったのです」
「そうだったんですか……。リーダー、私のこときちんと見てくれていたんですね」
ナツキはエリカからの評価を聞き、目から鱗の様子である。それと同時にこわばった表情が少しずつ弛緩されていく。
エリカは立って、ナツキの肩をしっかりと叩き、真剣な表情で、目を見て言う。
「頭として当然のことをしたまでですわ。魚は頭から腐るという俗諺にもあるように、私がしっかりと立たなければ皆ついていきませんし。私の目に狂いは御座いません。しかし、もし不安になればいつでも電話を掛けてください。私は確かに愛する人と旅に出ますが、カントーの一ジムリーダーとしての矜持を忘れたわけでは決してありませんから。貴女ならきっとこのジムを立派に切り盛りできますよ」
最後になると、彼女は爽やかにナツキに笑いかける。
「は、はい!」
「では、このイスと机は……あなたにお譲りしましょう」
エリカはナツキから手を放す。そして、リーダーのみ座ることが許されるリーグ公認の高価な革製のイスと漆塗りの机をナツキに譲る。
「ふふ、よく似合ってますよ。では健闘を心よりお祈りしています」
「エリカさんの期待に、全身全霊で応えてみせます!」
ナツキはリーダーとしての自信を持ったのか勢いよく答える。最後の表情に一片の迷いは見受けられず、目は澄み切っていた。
そんなナツキを見て、安心したようにエリカは微笑んで執務室を後にした。
―2月11日 ヤマブキシティ ナツメ宅―
エリカは旅立つ前に親友のナツメに別れを告げに家を訪れた。
彼女たちはリビングで世間話をした後、エリカはレッド共に旅立つ旨を伝える。
「そう……。気を付けてね」
ナツメ当人は存外あっさりと答えた。
「あら、もう少し強情になられるかと思いましたが」
「だって、止めたところであんたは行くでしょ。それにレッドに完璧にお熱だし」
ナツメは諦観めいた心境である。
「いえ、まだ私はレッドさんに身も心も捧げる気はありませんわ」
―2013年 2月13日 タマムシシティ―
「さて、心の整理もつきましたし、夫の待つクチバへと参りますか……」
この時のエリカは和服ではなく露出度の少ない冒険服姿である。
ボストンバッグと明るい白色のつばの広い帽子に、同じ色のコート風のなりをしている。
「リザードン、クチバ港まで」
「はいよぉ! マスターの奥方様ぁ!」
リザードンは勢いよく答える。こうしてエリカもクチバヘと向かった。
―クチバ港―
「えーっと、夫は一体何処に……」
クチバの初めて見る広大な波止場にエリカは戸
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