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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第二話 それぞれの別れ、そして出港
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ンには毎日。左側二段のローズマリーには2日に一回ぐらい。正面の桜には2日に一回……」

 こうしてジム内にある全ての植物の世話について説明した。

「……ふう。こんなものでしょうか。置手紙も用意して行くので詳しくはそちらを御覧になってください」

 尚、ここまでの1時間ずっと正座である。
 熟練のジムトレーナー達はきちんと耐えているが、新人の中には半分ぐらいで限界を迎えているものが出てきたりしていた。
 最後に一人ひとりにメッセージを伝え、ジムの引継ぎは終わる。

―執務室― 

 エリカはナツキを呼び出して、ジムリーダーとして激励をしていた。

「ナツキさん、貴方は明日から一時的ですがこのタマムシジムのジムリーダーです。カントーで一番格が高いジムという噂もよく聞くので、絶対にその格を落とさないようにして下さい」

 エリカの家系は古くは千利休の傍系で、様々な文人墨客を輩出していた。
 しかし明治以降はそれだけでは生計が成り立たなくなってきたのでポケモンジムを経営するようになった。
 戦前からジムの格式高さは他とは頭一つ抜けており、戦前まで男子禁制どころか挑戦するにも一定の身分が必要だったぐらいだ。
 空襲でジムは一旦丸焼けになってしまったものの復興を果たし、エリカの祖母、カルミアはタマムシジムの中興を果たした。そして戦後70年近くたった今でもその格調高さは健在である。
 そんな高貴なジムをナツキは一時的とはいえ舵取りを任せられるのだ。

「は、はい」

 ナツキは頬をこわばらせながらそう答えた。先ほどの自信はどこにいったのだろうか。

「このジムはひいお祖母様の代から続いてきた、全国でも1、2を争う伝統の誉れ高いジムでもあります。その伝統も、崩さないように」
「はい……」

 ナツキは段々と声調を弱めていく。自信が無くなっていくのは誰の目にも明らかである。しかし、エリカはそんなナツキの心情も汲み取ったのか

「でも、大丈夫です。私が六年前夭折した母上からこのジムを受け継いだ時も、貴女のような心境でしたから……」
「え?」

 ナツキがキョトンとした表情をすると、エリカはクスりと笑って、

「さっきからずーっと御顔が青いですよ? やはり不安なのでしょう? このジムを切り盛りできるか」

 と、ナツキの表情の原因を突き止めて見せる。

「率直に言いますとそうです……」

 ナツキは情けなさそうに率直な様子で言った。

「貴女を指名した理由、お分かりになられますか?」
「え、……分かりません……」

 ナツキは突然の質問に戸惑う。そして、少々考えた後に、そう答える。

「貴女が優秀だからですよ。私と同じタマムシ大学に居られる為か、博識でいらっしゃいますし、貴女の植物
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