暁 〜小説投稿サイト〜
伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第二話 それぞれの別れ、そして出港
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 そんな人が俺を選んで、ましてや”貴方”などと慕ってくれるわけか。等と思う。旅している時の事を想像すると、自然に胸が躍り、ついにやけてしまう。
 しかし、教養深いという事は自らの嫌う勉強が出来るという事だ。果たしてついていけるだろうかという疑念も湧き出す。
 そんなこんなで妄想の世界に浸っていると、何かがレッドの頬を叩く。
 
「うん?」
 
 叩かれた方向に顔を向けると、そこには黄色い腹が見えている。

「ピカー!」

 黄色い腹の正体はレッドの予測通り、やはりピカチュウだった。
 ピカチュウは野球ボールを持って、体を揺すらせている。

「ああなるほど……遊んでほしいのか。分かった、んじゃキャッチボールな」
「ピカピー!」

 ピカチュウはその返答に頬を緩ませ、大いに喜んでいる様子だ。
 そんな可愛げのある様子にレッドもまた微笑ましくなる。
 その後、ピカチュウと一時間キャッチボールなどをして遊び、眠りにつく。

 翌日、恩師のオーキドにも出立を伝える為に研究所へ向かった。

―オーキドポケモン研究所―

 研究所に着き、奥に向かうと、オーキドが朗らかに出迎える。

「やぁ、レッド君。お母さんから聞いたぞ、全国を旅するようじゃの」
「はい、まあ」
「どれ、君の持ってる図鑑、評価してみせよう」

 そう言われるとレッドはオーキドにポケモン図鑑を手渡した。

「見つけた数 149、捕まえた数 145! ホッホ! ここまでよく頑張ってくれたのう。渡した甲斐があったものよ。さて、レッド君、少し待ってくれい」

 そう言うとオーキドは奥の机に向かう。パソコンに移って何やら作業している。
 30分ほどしたのち、オーキドはレッドの所に戻り、目新しい図鑑を手渡す。

「あの、これは?」

 レッドはその図鑑について尋ねる。

「うむ。全国を旅するようじゃから、イッシュ地方まで対応している図鑑に変えたのじゃよ。これで、どこのポケモンでも記録できぬ物はないぞ。ホッホ!」

 オーキドは得意げに笑って見せた。

「ありがとうございます」

 レッドは礼を言って、頭を下げる。
 よく見るとカメラが前の図鑑よりも大きい気がした為僅かに違和感を覚えたが、せっかく用意してくれたのに水を差す気がしたので、彼は気にしない事にした。
 そうこう話していると幼馴染にして悪友のグリーンが入ってくる。
 どこか懐かしい気分にレッドが浸っていると、先手を取ったとばかりにグリーンが話しかけてくる。

「よう、レッド」
「グリーンか。久々だな」

 レッドの受け答えに、グリーンはわずかに眉をひそませて

「おっと先に言われるとはな。まあいいか」
 
 と答え、フッとにわかに微笑む。
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