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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第二話 それぞれの別れ、そして出港
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学堂が飾られている。天蓋つきのベッド二つに、70インチのテレビ、ミニバーなんかも備えられている。
「ワシの餞別じゃ! 二人の門出を祝っての!」
船員と一緒に入っていた、あごひげをたくわえた船長がそう言う。
「有難うございます! なんとお礼を申し上げれば良いやら……」
「いえいえ。貴方方の御噂もかねがねジョウトまで届いておりますぞ! きっと彼の地でも大きく祝福されることでしょう」
船長は微笑みながらそう言った。部屋の説明をした後、船長と船員は出ていく。
「まあ! 貴方、オーシャンビューですわ! すごく美しいですわね」
エリカは大きな窓ガラスから出る。そして彼女は眼前に広がる一望千頃とばかりに広がる群青の大海原に思わず手を組んでしまう。
心なしか、クチバシティが光っている気がしたがレッドは気にしないことにする。
「そうだな。もうカントーもあんな遠くなっちまった……」
レッドはエリカの隣に立ち、バルコニーの柵に腕を組んでつける。彼は離れていく故郷に些かの寂しさを感じ、遠い目で見つめる。
「そうですわね。こうして見るとカントーってあんなに大きいんですよね。定例会の際はいつもリニアを使うので忘れてしまいますわ」
「なんだか感慨深いよな……。さて、アサギには何時に着くんだ?」
レッドはパンフレットを手に持っているエリカに尋ねた。
「運行表を見た限りですと、明日の朝5時頃ですわね」
エリカは末尾のページにあった表を眺めながらそう答える。
「かかるなおい……」
レッドは少しげんなりとしている。
そんなレッドはお構いなしにエリカはジョウトに思いを馳せる。
「はぁ……ジョウトですか。エンジュシティが本当に楽しみですわ!」
教養深い彼女にとってやはり文化都市のエンジュはお好きなようである。その憧憬のあまり、恍惚とした表情になるのも無理はない。
「あーなんかパンフ見た限りだと好きそうな所だよな」
レッドはパンフレットを見た記憶と、ゴールドの言葉を思い起こしながらそう言った。
「そうなんですよ! 私はこれまでに何回か行きましたけれど、鈴の塔の悠久に佇むあの様は……」
レッドは、エリカのスイッチを入れてしまったことに後悔し、エリカの話を聞き続けるのだった。
そんなこんなで船は進んでいくのである。
第二話 それぞれの別れ、そして出港 終
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