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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第一話 月日は百代の過客にして行きかふ年もまた旅人なり
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と優しい人なんだと内心感じ入る。
「え、いいんですか本当に!?」
ゴールドにとっても願っても居なかったことなのだろう。ワタルに上ずってしまっている声で聞き返す。
「ゴールド君は僕と一緒にロケット団の壊滅に協力してくれたし、レッド君は、君が最強であるお陰でリーグの権威は守られている。だからそのお礼がしたくてね」
レッドは一つ疑問に思った為、尋ねる。
「頂けたことは有難いですが、リーグの援助という訳では無いんですか?」
「さっき言ったシロナさんって人が事務を担っているんだけど、物凄くお金の管理に厳しくてね……。『数枚の為に財布の紐は緩められません』って一蹴されちゃったんだ。だから、泣く泣くポケットマネーで事さ。……それでレッド君、エリカ君とは今?」
「え?」
レッドはまさかワタルがエリカの事を尋ねるとは思っていなかったので、少し瞳孔を収縮させる。
「ここ最近君の話をあんまり聞かなくてさ。エリカ君、この事を定例会で話すとすぐに食らいついたし、少し気になってるんだよね」
ワタルは興味津々な様子で尋ねてきた。少し下世話ではあるなとレッドは思ったが、すぐにゴールドの鼻でも明かしてやるかという心持にもなったので、
「その、正直に言うとさっきまで良いムードになっててゴールド君に邪魔されました」
と、レッドはさも不愉快だったとでも言いたげな演技ががった口調で言う。
ゴールドはレッドの方向に首をサッと焦ったように向ける。
「え?」
ゴールドの純粋なその目には、悔悟の念と動転が同時に現れていた。
「あん時邪魔しなければ今頃……ハァ」
レッドはわざとらしく帽子を目深に被り直して、大きく溜息をつきながら後輩をいじるような気分でゴールドを見下す。
「す、すみません空気読めなくて!」
ゴールドはレッドに木刀を素振りしたかのような体で平謝りする。
「いや、いいさ別に」
レッドはその姿を見て気を晴らしたので、すぐに許してあげた。一方のワタルは聞いたことを後悔しているようだ。顔に元気がいささか無くなっている。
「もう、レッドさんたら……先ほどからいささか喋り過ぎではありませんか?」
エリカはあまりにも時間が経過してしまい、待ちくたびれてしまったのか洞窟から抜けて姿を見せた。
二人はエリカの普段とは違う、登山服姿の色気に大いに悶えている様子だ。二人とも腹を抱え、赤面している。
「あら、どうして皆さんお腹を抱えて……」
彼女は行動の理由が掴めないのか、当惑気味になりながら言っている。
「い、いや何でもないですよ」
ゴールドが焦り気味に後頭部に手を遣りながら立つと、ワタルも少し遅れて立った。
「なんだ……来ていた
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