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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第一話 月日は百代の過客にして行きかふ年もまた旅人なり
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なりたいなら、時には非情になる事も肝要よ」
レッドは手を握り締める。
「でも、いいわね。シロガネ山に来るまで強くなっても、その優しさを忘れずにいるなんて……」
「え?」
レッドは女が初めて自らを褒めた為、思わず聞き返した。
「いえ。何でもないわ。あぁ、あとこれあげるわ」
彼女は上空から何かを落とす。
レッドは、落下地点を素早く予測し、受け取る。見てみるとゴーグルのようだ。
「それは、ゴーゴーゴーグル。砂嵐でも砂が目に入らない優れものよ。つぎバンギラスと戦うときはそれを使うといいわ。それじゃ、ばいばーい!」
そう言って、彼女は、髪をたなびかせて西の方向へ飛んでいった。
ポケモンへの勉強不足を痛感したレッドはそれから、ラジオで積極的にポケモンの情報を集めた。山を降りない以上、唯一の情報源だ。そして、ポケモンの平均レベルを75前後にまであげてバンギラスと戦い、どうにか勝利を得た。
バンギラスを制してから数週間が経過したある日の事。
山の生活にもすっかり慣れきって情欲や煩悩を忘れ、悠々と仙人のごとく生活していた。
この日、レッドはピカチュウの発電でラジオを動かしていた。
そのときのラジオの話題は、ロケット団の再興云々であった。
―2013年 2月10日 午前11時 シロガネ山 最奥部―
「ジョウトは大変だなぁ……まあもっともここもジョウトだけど」
と、ラジオに向かってシロガネ山で一人ごちている。
「あのう……誰かいるんですか?」
向こうの入り口より声が聞こえる。
レッドはラジオを止めた。
声の主は、奥へと進みレッドの少し前で止まった。
「あの、もしかして噂のレッドさんですか?」
その少年は赤色の帽子等から推測したのかそう尋ねてくる。
「……」
そして少年は風格から悟り、勝負を仕掛けた。
「……、どうやらそのようですね! 行け!バクフーン!!」
「……ピカチュウ」
――――――――――――――
この戦いはレッドが2体撃破されるも、勝利をおさめた。
「カメックスとピカチュウを撃破されるとはね。ここまで来るだけの事はある」
「……」
少年は唇を噛んで、さも悔しそうな様子で敗北を自覚しているようだ。
「ただやっぱりパーティが悪い。俺に合わせて第二世代だけにする必要はない。もっと自由にバランスよく組め。また出直して来い」
「……! 有難うございました」
そう言うとその少年は立ち去った。
また山に静寂の時間が戻る。
しかしそれと入れ替わるかのように、またも洞窟に誰かが入る。
今日は来客が多い、しかも女性のようだ。それに良い香りもする。
よく見ると、ベージュの登山
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