暁 〜小説投稿サイト〜
伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第一話 月日は百代の過客にして行きかふ年もまた旅人なり
[4/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
なりたいなら、時には非情になる事も肝要よ」

 レッドは手を握り締める。

「でも、いいわね。シロガネ山に来るまで強くなっても、その優しさを忘れずにいるなんて……」
「え?」

 レッドは女が初めて自らを褒めた為、思わず聞き返した。

「いえ。何でもないわ。あぁ、あとこれあげるわ」

 彼女は上空から何かを落とす。
 レッドは、落下地点を素早く予測し、受け取る。見てみるとゴーグルのようだ。

「それは、ゴーゴーゴーグル。砂嵐でも砂が目に入らない優れものよ。つぎバンギラスと戦うときはそれを使うといいわ。それじゃ、ばいばーい!」

 そう言って、彼女は、髪をたなびかせて西の方向へ飛んでいった。
 ポケモンへの勉強不足を痛感したレッドはそれから、ラジオで積極的にポケモンの情報を集めた。山を降りない以上、唯一の情報源だ。そして、ポケモンの平均レベルを75前後にまであげてバンギラスと戦い、どうにか勝利を得た。


 バンギラスを制してから数週間が経過したある日の事。
 山の生活にもすっかり慣れきって情欲や煩悩を忘れ、悠々と仙人のごとく生活していた。
 この日、レッドはピカチュウの発電でラジオを動かしていた。
 そのときのラジオの話題は、ロケット団の再興云々であった。

―2013年 2月10日 午前11時 シロガネ山 最奥部―

「ジョウトは大変だなぁ……まあもっともここもジョウトだけど」

 と、ラジオに向かってシロガネ山で一人ごちている。

「あのう……誰かいるんですか?」

 向こうの入り口より声が聞こえる。
 レッドはラジオを止めた。
 声の主は、奥へと進みレッドの少し前で止まった。

「あの、もしかして噂のレッドさんですか?」

 その少年は赤色の帽子等から推測したのかそう尋ねてくる。

「……」

 そして少年は風格から悟り、勝負を仕掛けた。

「……、どうやらそのようですね! 行け!バクフーン!!」
「……ピカチュウ」
――――――――――――――

 この戦いはレッドが2体撃破されるも、勝利をおさめた。

「カメックスとピカチュウを撃破されるとはね。ここまで来るだけの事はある」
「……」

 少年は唇を噛んで、さも悔しそうな様子で敗北を自覚しているようだ。

「ただやっぱりパーティが悪い。俺に合わせて第二世代だけにする必要はない。もっと自由にバランスよく組め。また出直して来い」
「……! 有難うございました」

 そう言うとその少年は立ち去った。
 また山に静寂の時間が戻る。
 しかしそれと入れ替わるかのように、またも洞窟に誰かが入る。
 今日は来客が多い、しかも女性のようだ。それに良い香りもする。
 よく見ると、ベージュの登山
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ