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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第一話 月日は百代の過客にして行きかふ年もまた旅人なり
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ウは素早く電気をあつめ、稲妻をお見舞いした。
 
『グ……グォォォォォォ!』

 電撃は動きを鈍らせた。しかし、肝心の体力にはさほど影響を及ぼしていない。

「くそっ……! じゃあ、カメックス! ハイドロポンプだ!」
「あいよっ!」

 カメックスは砲塔に水を装填させ、高水圧の激流をポケモンに衝突させる。
 今度のは相当に効いたようだが、それでもやはり勢いは衰えない。
 やがて、レッドのすぐ近くにポケモンは姿を現す。
 距離が80mほどになると、体を隠していた砂塵は意味を成さなくなり、ようやく体そのものが見えた。
 薄緑色の巨体に、青色の菱形の腹が見えた。

「で……でかいな」

 その体は2mを超さんばかりの巨体であった。近くになればなるほど威迫は増すばかりだ。

「チィっ……。フシギバナ。葉っぱカッターだっ。俺の直感からしてあれは岩タイプ! あの如何にも山にいそうな姿に加え、この砂嵐の中平然と歩けているということは、それしか考えられねえっ!」
「分かった」

 フシギバナは葉を鋭利な刃に変え、青色の腹に向けて放った。
 今度は、相当に効いたようだが、退く様子すら見せない。
 やがて、ポケモンのほうから攻撃をしかけた。巨大な岩石を味方につけ、大量に降らせる。これは大いに効き、レッド側のすべてのポケモンに大ダメージを与えた。

「なんだこれ……滅茶苦茶だぁ」

 一番ダメージを食らったリザードンがそう呟いた。

「ぐっ……。嘘だろ、俺のポケモンの平均は60レベだというのに……!」

 レッドは目を点にさせながら言う。そしてそれと同時にこのままでは埒が明かないと見て撤退しようかなどと考えていると、二体の鋼色をした鳥がレッドの上を通り過ぎた。
 そして、その鳥は羽を広げ、相挟んで刃と化した翼でポケモンを切りつけた。
 隙が出来たと見たレッドはすぐさまカメックスとラプラスにハイドロポンプを指示し、フシギバナには葉っぱカッターを指令。
 八方ふさがりで適わないと見たのか、ポケモンはのしのしと引いていった。
 ようやく追い払って、ほっと一息をついていると、上空から声がする。

「おーい、そこの少年! 大丈夫ー?」

 レッドが声の主の方向へ顔を向けると、見たことも無いツバメのようなポケモンに乗った女性が自らの顔を覗かせながら彼を見下ろしていた。
 とはいえ、砂嵐が晴れ、太陽を背にしているため影になってほとんど見えない。

「貴女が助けてくれたんですか」

 レッドは声を少し上げながら言う。

「グライダーしてたら局所的に砂嵐があがっている所を見つけてね。何事かと思って、オオス……ポケモンに乗り換えて来てみたのー! そしたらまあ君が苦戦してたからね。ちょっと手助けしてあげたの」
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