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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第〇話 黎明
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 黒ずくめの来客は脱帽し、近くにあったもう一つの椅子に上着をかける。
 オーキドはすぐ隣にある給湯室に入り

「紅茶が良いかの?」
「ミルク多め」

 こうして、黒ずくめの男とオーキドは相対し、他愛もない話を数分ほどした後本題に入る。

「ここに来たという事は……、肚は決まってるとみて良いのかの?」

 先ほどまで笑みを浮かべていたオーキドは頬を引き締めて言った。

「どうもこうも無い。このまま放浪を続けても活路は見出せん。あんたの支援提案、受けるつもりだ」
「さすがに賢明よのう……。カントーで暴れ回った虎狼、サカキ殿は……」
「虎狼……。名誉を捨て、我らのような組織に片棒担ぐあんたの方がよっぽどその名に恥じんな」

 サカキがそう毒づくとオーキドは右頬をわずかに緩ませ

「フッ……名誉など所詮は道具に過ぎんよ。見返りの件も忘れてはならぬぞ」
「無条件で来るはずも無いしな。分かっている。では、ロケット団の栄光を取り戻す為、今はきょ……」

 そこまで言うとオーキドは遮り

「サカキ殿。勘違いしてはいかんのぅ。ワシはロケット団の事など毛ほども興味は無い。ただ利害が一致するから手を組む……それだけじゃ」

 オーキドは出した手を振り払うかのように、冷淡に接する。

「クッ。あくまで実利か……。単純かつ外連味の無いこった。表とは打って変わる相当の悪じゃないか。オーキド殿」

 サカキは言葉とは裏腹に同類を見つけたのを歓迎するかのような目でオーキドを見る。

「ホッホ……。まあ良いわ。互いの万願成就の為、呉越同舟。今は共闘ぞ」

 こうして、ポケモン研究会の権威・オーキドと、それと相対する悪の組織ロケット団の首領・サカキ。
 白日の下に晒されれば驚天動地の事態となる会盟がここで交わされる。
 サカキは往時の栄光を取り戻す為にオーキドと組む。しかし、オーキドの目的を知る者はまだいない。

―同年 10月1日 午後3時 ヤマブキシティ―

 所変わってここはヤマブキシティ。
 月初に行われる定例会が終わり、タマムシジムリーダーのエリカは親友であり、この町のジムリーダーであるナツメと喫茶店で歓談していた。

「ヤマブキも、もみじが色を付け始めましたわね……」

 エリカは頬杖をつきながら庭のもみじを見つめる。

「もうそんな季節か……。はぁ、10月に入ったし衣替えもしなくちゃね」

 ナツメがそう言うと、エリカはナツメに顔を向けて

「あら、秋向けのお洋服でしたら、タマムシデパートで良さそうな物が……」

 と、二人は他愛もない妙齢の女子らしい会話を続けた。
 30分するとふとエリカが

「そういえば、レッドさんも衣替えをなさるのでしょうか……」

 と言うと
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