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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第〇話 黎明
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き致しましたが噂に違わぬ、素晴らしきお点前でした。レッドさんが私のジムに来ること、楽しみにいたしておりますわね」
そう言ってレッドに微笑みかけた後エリカは去っていった。
レッドは終始エリカを見ていて、残り香が熱気と風にかき消されて香らなくなるまで恍惚としていた。
あそこまで綺麗な人が自分の相手だという事に、レッドは自らの士気を高める。
こうしてレッドも気合を入れなおしてタマムシシティへと向かうのだった。
それから少し経ち、ジム戦でレッドは5-0の完全勝利を果たす。
―9月12日 午後1時 タマムシジム―
エリカは最後のポケモンであるウツボットを戻したのち、
「予想はしていましたが、ここまでとは……私の完敗です。どうぞレインボーバッジをお受け取りください」
そう言った後、エリカは懐より虹色に輝く花を模したバッジを手渡した。
心なしかバッジからも良い香りがするとレッドは思う。
「ありがとうございます」
バッジの一通りの説明や技マシンを渡した後彼女から一言アドバイスを受ける。
「確かにお強いですが、最初に貰われたポケモンばかり強くなされていませんか?
それだと私の後の4人のジムリーダーに勝つことは難しいかと……。レベルバランスよく育ててくださいね」
彼はその一言にハッと目が覚めた思いがした。この日までフシギソウやカメール等、博士から貰ったポケモンしか鍛えていなかったからだ。
レッドは勝ち続けてばかりいたので、こういう忠告をしてくれる人が居らず欠点を見過ごしてた。その為、エリカの言葉は非常にありがたく、
「有難うございます!」
とレッドは深々と頭を下げて答える。
その反応を見たエリカは、またクスりと微笑んで
「フフ……。この戦いを励みにして、貴方が栄冠に輝くこと……心より期待しておりますわ。頑張ってくださいね!」
エリカのその言葉の後、レッドはもう一度礼を言ってタマムシジムを後にする。
その後レッドはエリカの忠言を守り、道路の草むらのポケモンと戦ってすべての手持ちを同じぐらいのレベルに上げた。
そしてポケモンリーグにまで勝ち上がることができたのだ。
レッドはチャンピオンになった後、エリカに真っ先に報告の名分で会いたい気持ち。それに加えて感謝の意を伝えたい気持ち。そして何よりも強い思いを抱きながらリザードンでタマムシシティへと向かうのである。
――――――――――――――――――――――――
小寒のタマムシシティは二十四節気の一つであるその言葉に似合わず、ビル風の手伝いもあってか歯の根が合わないほど、強い北風が吹きつけている。
彼女は恐らくジムにいるだろう。そう思ってレッドはジムへと歩みを進めた。
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