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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第〇話 黎明
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シロガネ山。
ポケモントレーナーの極みに達した者のみ入山が許されるカントーとジョウトを別つ大山。
そこは一般人が安易に足を踏み入れると、死をも覚悟しなくてはならないほど獰猛なポケモンたちがおり、常時百鬼夜行とばかりに蠢き続けている。
そんな山に一人の男が再び登って行く。
赤い帽子をかぶり、大きなリュックを背負い、様々な記憶を想起させながら。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―2009年 8月13日 午後3時 シオンタウン―
レッドはガラガラを成仏させた後、ポケモンタワーでのロケット団の悪事を挫く。
「怖かったな、ポケモンタワー……でもカラカラのお母さん成仏できて良かったな」
レッドはシオンタウンを宛もなくほっつき歩きながらそんな事を口にしていた。
8月の中盤。烈日は容赦なくアスファルトを照り返し、彼の不快指数をさらに上げる。
そろそろポケセンで涼もうかな等と思い始めたその時、レッドの背後からふと女性の声がした。
「フフ、お優しいのですね……レッドさん……」
「?、誰か僕の名前……」
レッドは後ろを振り向く。
「!?」
後ろを振り向けば袴姿に黄色い着物を着た容姿端麗な少女が立っていた。レッドはその清楚で可憐な姿に一目惚れする。
帯締めに香り袋があるのか、そこから
馥郁
(
ふくいく
)
たる
白檀
(
びゃくだん
)
の香りが鼻腔を刺激し、見る者を更に惚れ込ませる。
「驚かせてしまい、ごめんあそばせ。ところであなたの噂、届いておりますわよ」
「へ……!? 貴女何者なのですか?」
自分の噂を知っているとは、何事かと思ったレッドは思わず尋ねる。
「これを見ればお分かり頂けるかしら」
エリカは懐から虹色に輝くバッジを取り出した。
「ジムバッジ……ということはまさか!」
「はい、私、タマムシジムリーダーのエリカと申します」
レッドはその名を胸に刻んだ。
「タマムシのエリカさんが何でここに?」
「お墓参りです。今日はお盆で御座いましょう?」
「そ、そういえば……」
レッドはふと今日の日付を思い出す。思えば、今日は8月の中旬だ。
彼女は続けて話す。
「私がまだ小さかった頃よく一緒に遊んだナゾノクサのクロをこのタワーに埋葬しておりますので。その為、毎年お盆と彼岸の時には必ず行くようにしてる訳ですの。そして、そこの帰りでロケット団と戦っているレッドさんをたまたまお見かけして、それで話しかけた次第です」
エリカの話を聞いて、レッドは合点がついたので納得した表情をして
「なるほど、見てたんですか……」
彼女は続いてレッドを評す。
「ええ。マチスさんからもお聞
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