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赤い靴
3部分:第三章
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そうか。ならいい」
 それを聞いてまずは安心した。しかしであった。
 不審者は暴れ続けている。気付けば松本の服もかなり切られていた。闇夜の中で鋭利な何かが剣呑な輝きを見せていたのである。二人に対して。
 その輝きが何であるかはおおよそはわかる。しかしそれが何かまではわからない。
「何ですかね、これ」
「さあな」
 二人はその攻撃を右に左に後ろにかわしながら話をする。
「だがかなりリーチはあるな」
「ええ。包丁よりもずっと」
「何かまではわからねえ。しかしだ」
 松本は突き刺してきたそれを右に身体を捻ってかわした。
「どうする?こいつ」
「どうするですか」
 今度は金田に対してきた。身を下に屈めて紙一重でかわした。
「銃はありますけれど」
「馬鹿、使えるか」
 松本はそれは否定した。ここでも不審者の攻撃をかわす。
「あれ使ったらマスコミが五月蝿いぞ」
「それはそうですが」
「それにだ。今は」
「今は?」
「そんなヒマあるか」
 こう言うのだった。ここでまた光をかわす。その危険な光を。
「銃を抜くヒマがな」
「確かに。それは」
「おい金田」
 松本はここまで話したうえで金田に声をかけた。

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