第6章 流されて異界
第129話 白昼夢
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稲作は難しかったと思いますね。陸稲に関しては……巨大な遺構が発見されていないので、俺の知識では微妙ですか。
まぁ、何にしても日本のように狭い国土で多くの人口を養おうとすると、矢張り、米は必要。それで、如何に大陸を相手に交易を行い、文化的にもそう低い状態ではなかったはずの蝦夷が北へと追いやられて行ったのは、スペインやポルトガルに南米の文化が破壊されて行ったのと同じ図式、と言う事になるのでしょう。
つまり、文化的にどんなにすぐれて居ようとも、ある程度の軍事的な力がなければ滅ぼされて仕舞う可能性がある、……と言う事。
ただ……。
ただ、スペインやポルトガルは自分たちの宗教も押し付けて……。いや、最初はインディオが人か、そうではない……人間ではない亜人の一種なのかの論争もあったと記憶しているのですが。確か、ローマ法王の有名な「新大陸の人間は真正の人間である」宣言があるまでは、人間として扱う事さえ躊躇ったはずです。それはつまり、自分たちの宗教に彼らを組み込んで洗礼を施して良いのか、と言う考えさえあったらしい、と言う事。
まぁ、現代日本に暮らして来た俺からすると、何を訳の分からない事を、と言って呆れるしかない事なのですが。
ただ、スペインやポルトガルなどは自分たちの優れた……と自分たちが一方的に考えている宗教を強制的に押し付けるような真似をしたのですが、流石に日本の朝廷は其処まで非道なマネを為さなかったのか、それとも蝦夷の同化を計る為に、自分たちの神話体系に彼らの信仰を取り込んだのか定かではありませんが、彼らの神への信仰を禁止するような事はありませんでした。
先ほどの映像の中にある「阿弖流為が祭った神」なども、確か多賀城内で祭られて居た、と言う記述が何処かに残っていたはず、ですから。
多賀城とは当時の対蝦夷の最前線。ここに、敵将が信奉している神を祭る、と言う事は、既にそれだけの数の蝦夷が恭順していたのと、朝廷……東征軍が宗教に関しては寛容だったと言う事なのでしょう。
阿弖流為の助命嘆願まで為した、と言う記述が残されているらしいですから、坂上田村麻呂と言う人物が非常に寛容な人物で、更に、支配者として必要な事が理解出来て居たと言う事なのかも知れません。
コルテスやピサロに……。いや、ハルケギニアの一部の貴族を見ていると、コルテスやピサロなどが特別な訳ではない事が見えて来ますか。それに、阿弖流為が生きて居た時代の国司などが何をやって私財を蓄えたか考えると、日本人だってそう上等だったとは言い切れませんし……。
「それで、今回のこの一連の事件と、さっきの映像の関連は分かったのでしょうね」
何となく、だけど、昨夜のアイツと、さっきの映像に出て来た長髪の声が……。
この四人の中で俺とハルヒしか聞い
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