第6章 流されて異界
第129話 白昼夢
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可能性もある。
どちらの方を因り重要視すべきかを考えたら、答えは一目瞭然でしょう。
静かに俺を見つめ返した有希が小さく首肯いた。彼女に否はない。それに、元々は土地神を呼び出す際に彼女にも手伝って貰う予定だったので、土地神が三尸虫に代わっただけで、当初の目的と大きな差が出る訳でもなかった。
しかし――
「ちょい待ち」
相変わらず、俺が何か始めようとすると口を挟んで来るヤツが一人。
「あんたが三尸とか言う虫を呼び出せる、と言うのなら、呼び出せるのでしょうよ。でも、其処に何で有希が関係しているのよ?」
俺が有希……と呼び掛けた瞬間にその形の良い眉根を寄せたハルヒ。しかし、其処に対するツッコミなどではなく、まったく違う個所に噛みついて来た。
ただ、俺は既に彼女の中では少しぐらい不思議な事を言っても、その上、やって見せたとしても不思議な事ではなく成った、と言う事ですか。
確かに昨夜の戦いの始まりから、その決着までを見た上で、未だ恐れる事もなく話し掛けて来てくれるだけでもマシですか。
そう前向きに解釈する俺。ただ、自分に言い聞かせたとしても、其処に一抹の寂しさに似た何かが残っているのは仕方がない。
「俺たちは基本、何人かの仲間と共にチームを組んで行動する。有希と万結は俺の今のチームメイトだ」
もっとも、今のトコロ、俺たちは常時実戦に投入されている訳ではなくて、普段は待機状態。今回は偶々弓月さんの依頼が俺や有希たちに為されたから、コッチに仕事が回されただけだから。
当たり障りのない答えを口にする俺。ただ、基本的に常時最前線に居る人材なら、こうやってひとつの学校に長く留まる事がないのも事実。
そう言う人間は大抵の場合は、転校生として全国の学校を渡り歩く人間となる。
俺たちが関わるのは霊的な事件。そんな事件がそれほど簡単に起きる物ではない。まして、御近所で毎週のように事件が起きて居たら、その地の地脈を一から調整し直す必要が出て来るほどの異常事態。
そんな事はあり得る訳がないでしょう。
基本的には公的権力の入り込み難い、まして学生と言う立場でしか入って行く事の出来ない人間関係の中に入り込んで捜査を行うのが『転校生』と言う連中の役割。幸い……かどうかは分かりませんが、俺はそのような仕事を中心にしていた訳ではありませんが。
「俺は……まぁ、ちょいとヘマを仕出かした挙句に大怪我。それで、一時的に御役御免となって後ろに下げられたと言う訳」
もっとも、予想以上に怪我が酷くて、北高に通えるまで回復するのが予定よりも遅れたけどな。
ある程度の事実を含む嘘はばれ難い。おそらく、ハルヒ自身が、自分と言う存在の意味を知って居なければ、この嘘はばれる事はないだろう。そう考えて、正に
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