第6章 流されて異界
第129話 白昼夢
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回の事件に関して言うのなら、あの犬神使いはどう考えても術に関してはまったくの素人。故に、ヤツに入れ知恵をした存在か、それとも召喚しようとした邪神により早々に土地神が封印されたか、のどちらか。
土地神は、『神』とは言っても所詮は亡者レベル。生前に術者や武芸者として名を成した存在だったのなら未だしも、大抵は一般人であったので……。
それなりの術者や、それに準じる存在ならば封じる事が難しい相手、と言う訳ではない。
「つまり、何。失敗する事が分かって居て、それでも魔法を使ってみた、と言うの?」
それって、時間の無駄じゃないの。
言い難い事をズバッと言ってくれるハルヒ。確かに、結果から言えば時間の無駄。
但し、
「もしも封印に失敗した土地神が居た時に得られる情報が凄まじいレベルの物になる」
相手の姓名が分かる可能性がある。能力が分かる可能性もある。現在の相手の居場所が分かる可能性もある。召喚しようとしている邪神の正体が判る可能性もある。
実際、魔術の関わっていない一般的な事件ならば、土地神の助力が得られれば一日で解決する事件ばかりとなるのも事実。
神霊探偵と言うヤツが存在するのなら、ソイツは正に迷宮なしの名探偵と言う事になる。……と言う訳。
日本やその他、ある程度の霊的魔術的な組織を持つ国には、そう言う捜査部門も存在していて、其処の連中が一般的な事件の解決に一役買って居ると言う事もありますから。
もっとも、今回の場合は厳密に言うと失敗ではなく、ここに土地神は居なかった、……と言う事になるのですが。
しかし、土地神が現われなかった以上、結果は失敗と同じ。ハルヒの言うように時間の無駄とその後に続いた妙に批判的なコイツへの説明……釈明で、精神的にも鉋でガシガシ削られたような気分になって仕舞い……。
そう考えて、期待して損しちゃったじゃないの、とか、あたしの貴重な時間をどうしてくれるのよ、などと自分勝手な事をほざいて居るヤツは素直に無視。
……多分、コイツはカルシュウムが不足しているのか、そろそろ昼飯だろう、と言いたいのかのどちらかでしょう。
オマエの相手をさせられた俺の苦痛は、一体何処の何方が穴埋めをしてくれるのです、と問いたいのをぐっと我慢。
そして――
改めて、最初の自殺が行われた、と言う場所の確認を行う俺。
……と言っても、大して特徴の有る場所ではない。冬枯れの芝生と、所々に植えられている様々な樹木。ここに来るまでの間には自動車を使用した屋台のクレープ屋とか、タイ焼き屋などもあったのですが、この辺りはすぐ傍まで迫った山……戦国時代には山城が築かれていた、と言う山から続く林と、その当時は自然の堀として使用された池が存在するだけで、これと言った建物。図書館や
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