掛け違えた祈り
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しませんように。
『お前に名前を。俺を呼べ……アリア』
アリア。
名無しの子供に与えられた、名前。
偽りの女神の名前。
アリアは一度ぐっと目蓋を閉じ、唇を噛み締めた。
立ち上がり、涙を振り払って視界を広げ、廃墟と化した神殿を見据える。
昔、人と神々を繋ぐ巫の一族が住んでいた場所。幼いアリアが村人に拾われた場所。
……此処から始める。此処から変えていく。創造神アリアは此処で声を上げる。
どうか、世界中の生命が慈しみと優しさで満たされますように。
「私は創造神アリア。この世界を護る者。導く者。力を貸して! 私の契約者レゾネクト!!」
アリアの全身から紫色の光が放たれる。
夕暮れにも似た澄んだ紫の光はアリアの体を離れ、一歩手前の空間に若い男性の体を顕した。
「……叶えてやろう、アリア。お前の願い、お前の望み。お前の道は俺が示してやる」
聞き慣れた声の初めて見る姿はとても美しく、何処か虚ろで。
それでも、差し出された手を握り返せば、少しだけ温かく感じた。
アリアは願うままに世界を跳ぶ。
やがて、女神アリアが統一した世界も自分の一部だと解釈できる……そう気付くまで。
導き手であろうと本心から願って。
懸命に、跳び続けた。
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