掛け違えた祈り
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した。つまり、お前が」
「やめて……」
聞きたくない……
「クロスツェルを」
「いや……っ」
聞きたくない! 聞きたくない!!
「罪人にしたんだ」
「やめてぇええッ!!」
聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない!!
「耳を塞いで、目を閉じて。そうやってまた逃げるのか? お前の願いから。自分が犯した過ちから」
力を込めて頭を振る。レゾネクトの手が離れた隙に地面に伏せて耳を隠し、声を遮る。
……解ってる。全部私が悪いんだって、解ってる。
けど!!
「アリア……お前の信徒達は本当によく理解している。一度始めた事は最後まで責任を持ってやり通さなければならないと。プリシラも言っていただろう? 傍観者に徹するなど論外、形だけ通して終わりだなどと思うな。お前は世界を創造した女神アリア。お前の存在で、この世界から争いを無くすんだ」
できない……できる訳がない。
私がこれ以上契約を進めたら、世界が壊されてしまう。
この『』に、本当に壊されてしまう!
だから私は……っ
「アリア」
「っ!」
立ち上がったレゾネクトに両の二の腕を掴まれて無理矢理立たされた。
そのまま頭を抱える格好で抱き締められ、抵抗も叶わない。
「俺の可愛いアリア。さぁ……あの日の願いを叶えろ。お前の力でクロスツェルを護ると良い。ベゼドラも、世界も。お前が愛する総てを」
レゾネクトの手が髪を撫で、絡めた一房に口付ける。
……貴方は……いつもそうやって、私を追い詰める。
「……クロスツェル……」
レゾネクトの腕の中からクロスツェルに目を向ける。
私が苦しめてしまった、小さな小さな少年。
貴方みたいな人が生み出されないようにって、ずっと、そう思っていたのに……
「ごめん……な、さい……」
私こそが総ての罪の根源。
貴方は悪くない……。
悪くなんてないのよ、レスター……
どうして殺し合うの。どうして奪い合うの。どうして壊そうとするの。
無い物は皆で作れば良い。足りない物は皆で補い合えば良い。助け合って支え合って、苦しみも悲しみも喜びも分かち合って。一緒に頑張れば良いだけじゃない! どうしてそれが受け入れられないの!? 何が人間を分けて潰し合わせようとしているの!? どうして隣に居る人の手を取って笑い合うことすら拒むの!?
子供は吼える。何も答えない虚ろな空間で、ただただ吼え続ける。
意思を持った時に親は無く。
何者とも知れぬ子供を育てた心優しい老夫婦は、見ず知らずの盗人達に殺された。
育てた野菜や果物は根こそぎ奪い去られ、僅か数十人が身を寄せて暮らしていた村も無情に焼き払われ。
命からがら逃げ延びた子供は、老夫婦から聴かされていた世界の形を思っ
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