第八十八話
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朽ち果てた主街区のメインストリートにて、二人きりの決戦が始まろうとしていた。笑う踊り子を目標に捉え、俺はそちらに向かって駆けていく。距離にして目測で50mほど。
本来ならばショットガンたるAA−12の必殺の距離ではあるが、ナーヴギアでログインしているリーベには、この距離で撃ったところで当たりはしない。それは先刻承知、彼女の主兵装たる爆弾を封じるためにも、挑むべきは接近戦。
「で、も。ステージで踊る女の子にはおさわりNG!」
そう言いながらリーベが指を鳴らすと、俺の足元から白煙が立ちこめていた。地雷か――と思いながら白煙の正体を確認すると、それは先程こちらに投げられていた、リーベが俺を監視するために使っていたという双眼鏡――
「ばぁん!」
いつぞやの予選でラジカセに爆弾を仕込んでいたものと同様に、リーベのかけ声とともに双眼鏡が爆発すると、辺りに更なる白煙を撒き散らしていく――煙幕だ、と思った瞬間には、俺の視界は全て煙に巻かれていた。
「このっ!」
慌てずAA−12の弾倉を特殊弾頭《FRAG-12》が入っているものに変えると、今もなお白煙を撒き散らし続けているであろう、リーベの双眼鏡があった場所へと引き金を引く。小型のグレネード弾ともいえる《FRAG-12》により、あっさりと双眼鏡は爆散――そしてその爆煙により、辺りを包み込んでいた白煙を吹き飛ばす。
「…………」
――しかし、視界には既にリーベの姿はなく。現在地は主街区の中心部と、辺りは廃墟ながらもビルだらけだ。隠れる場所ならいくらでもあり、しらみつぶしにリーベを探していては時間がいくらあっても足りない。
「ショウキくん、こっちこっち! 鬼が逃げちゃうよ?」
気配を探るまでもなく、彼女はビルの屋上からこちらに手を振ってきていた。……この期に及んでも、彼女はまた俺と遊んでいるつもりなのだ――ハッタリでなければ、リズの命を天秤にかけて。
「こーなーいなーら、こっちからイッちゃうよ!」
弾倉を《FRAG-12》用のものから通常弾頭のものに変える以外は、特に反応を示さない俺に業を煮やしたのか、ビルの屋上に逃れた筈のリーベが先に行動を起こす。近いうちに聞いたことがある、連続した爆発音が辺りのビルから鳴り響いていき――《死銃》と遭遇したスタジアムでの、スタジアムの支柱を爆発させ、スタジアムごと中にいる人間を生き埋めにする爆発音と同じ音――俺はリーベが何をしようとしているのか悟る。
――辺りのビルを全て倒壊させ、俺がいるメインストリートを圧殺しようとしている。
「くっ……!」
スケールの大きすぎる先制攻撃に、つい苦悶の声を漏らしながらも、俺はリーベがいるビルへと走っていく。リーベ本人をも巻き込まれるこの攻撃なら
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