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SAO−銀ノ月−
第八十八話
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で、戦いたかったんだろう」

 二、三素振りをした後に鉄棒をしっかりと握る。刃どころか柄も鍔も反りもなく、ただの拾ったコンクリート片にしか過ぎない。それでも気配は本物のカタナを握っているように――日本刀《銀ノ月》が手の中にあるように。その気配でもってナイフを持った踊り子を見据えた。


「ああ――んっ――じゃあ遠慮なくそうさせてもらうよぉ!」

 踊り子は恍惚とした表情を見せた後、一足飛びにこちらに駆けてくる。その時には既に、ナイフを握っていた筈の手のひらには、黒い球状の爆弾らしきものが握られており。リーベに先んじて、こちらへと放り投げられた。

「……ふっ!」

 気合い一閃、こちらに向けられた球状の物を切り裂くように弾くと、ソレは野球のボールのように飛んでいった。それは視界の端で巨大な光を炸裂させ――閃光弾だったらしい――それに当てられた左の視界が一時だけ封じられてしまい、リーベの姿を見失ってしまう。

「…………」

「おっと!」

 ただしそれは、『光で潰した左側から行く』と宣言しているようなものであり、見えずともリーベの接近を防ぐように鉄棒を横に振るう。やはりしゃがんで避けたリーベに対し、瓦礫を蹴り上げて即席の弾丸を飛ばす。

「そんなのでっ!」

 しかし、瓦礫の石つぶてではリーベの進行を妨げることは出来ず、リーベは構わず彼女の言うところの『お互いの吐息が交わる距離』へと接近する。小さい身長を活かした、足元からのナイフの突き上げが俺の顔面に迫り、それを《縮地》で避けるとリーベの頭上を取る。

「やっ――」

「――らぁっ!」

 空中で一回転して勢いを増した、頭上からの一撃がリーベに迫る。俺が狙っていた頭部へは避けられたものの、代わりに肩へと痛烈な打撃を与える。着地地点に置きみやげのようにおいてあった手榴弾を、瓦礫の剣を足場にして他の場所に跳ぶことで避けると、新たな瓦礫の剣を手頃な瓦礫の山から拾う。材料ならリーベのビル爆破の影響で山ほどあるのは、不幸中の幸いというべきだろうか。

 その間にリーベには新たなスイッチが握られており、そのスイッチを押すとまたもや、俺たちの近くにあったビルが爆発する。しかして今回は倒壊させるような爆発のさせ方ではなく、ビルの上階を力任せに吹き飛ばすようなやり方。

 ――その結果として、爆散したビルの上階がまとめて、瓦礫を雨にしたかのように俺たちに降り注ぐ。

 もちろんそれにはリーベも巻き込まれているものの、今更それに驚くほどのことはなく。巨大な破片が辺り一帯に降り注ぐが、それだけでは充分に避けられるためにまだ脅威ではない。よって、リーベの一挙手一投足に注意していたが――彼女は煙幕を張ると、白煙とともに姿を消す。

「くっ……」

 まんまと白
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