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SAO−銀ノ月−
第八十八話
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らに俺が何か言葉を発しようとするより早く、再びどこかから物を取り出し手に握っていた。半身が焼けただれているとはいえ、行動するのにこれと言って支障はないのか、火傷した手にもライターのような物が握られていた。

「ネズミ花火! ショウキくんも子供の時遊ばなかった?」

 火をつけると煙を発しながらそこら中を走り回る、という花火。爆弾ですらないそれを数個瓦礫に置きながら、リーベはそのどれもに火をつけようとライターに火をつける。

「……ッ!」

 何をしようとしているかは分からないが、何かをさせるわけにはいかない。残弾数が心もとないが、ネズミ花火に火をつけようとするリーベに《FRAG-12》を発砲する。

「おっとっと!」

 しかしてリーベは、ライターをネズミ花火に投げて火をつけると、自身は《FRAG-12》の爆発に飲み込まれないように、今いた瓦礫から他の瓦礫に飛び移る。ネズミ花火も着弾の前に走り出すが、足場はどこも瓦礫という場所でまともに走れる訳もなく、どこかへ沈んで見えなくなっていく。

「さって、そろそろ決着つけようか。いい加減、観客の皆様も飽きてきてるだろうしさ。ね、ショウキくん?」

「……そうだな」

 逃げてばかりもいられない。破片の下に落ちていったネズミ花火は意識の端に留め置くとして、わざとらしくナイフを持ったリーベの問いに答える。先程のリーベだけを爆発に巻き込ませる方法は、倒壊したビルという限定的な状況でしか使えず、使えたとしてももうリーベには通じないだろう。

 あのナイフが先程までと同じ爆弾つきならば、どこかに刺されただけで俺の敗北は決定する。それに対応するべく俺は、まずAA−12を肩にバックのようにかけ、銃口を天に指を引き金から放した。

「あれれ、勝負でも諦めたの? なんで銃しまっちゃうの?」

 リーベの言う通り、それは銃を使わないと宣言したのと同義。いや、使うにしても再び構えるためにワンアクションかかる、と言った方が正しいか。リーベの疑問の声を背中に受けながら、俺は目を付けていた瓦礫を足元から拾う。

 リーベのビル爆破によってどこからか生まれた、堅牢なコンクリートで出来た棒状の瓦礫。その長さはそう、ちょうど俺があの浮遊城で使っていた、太刀――《カタナ》と同じようで。

「これが、今の俺のカタナだ」

「……へぇ?」

 どうせAA−12を撃ったところで、俺の腕前では高速で反応するリーベには、よほどの近い距離でなくては当たらない。ならば必要なのは、あのナイフを防ぎつつ安全にAA−12の必殺の距離に近づくための、使い慣れた近接武器。本来ならばキリトにならって二刀流、といきたいところだったが、あいにくと左手が潰されている。

「さあ、来い《SAO失敗者》。あの浮遊城
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