第八十八話
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っていたリーベにAA−12の牽制弾を放つ。先のナイフや壁、予選の時もそうだったが、リーベはどこからかアイテムを高速で出現させる術を持っている。まだどんな隠し弾を持っているか――
「あはっ」
――などと考えている場合ではなく、リーベはまたもや眼前でナイフを煌めかせてきた。右手で突きだしてきたような態勢のナイフを、俺はカウンターのような回し蹴りで当てると、ナイフはリーベの手から離れて廊下へと転がっていく。再び素手となったリーベに、AA−12を構え――
「ッ!?」
――俺の腹部を嫌な感触が貫いた。そこにあるのはリーベの左手と、俺の腹部に浅く突き刺さったナイフだった。突き出された右手はフェイク……そちらに視線を隠された左手にナイフを出現させ、こちらが攻撃の態勢に移る瞬間に突き刺す。
しかし、リーベの体格とナイフという武器の関係上、突き刺されたその傷は浅い。気にせず反撃しようとしたその時、リーベがそのナイフの刃を折って離れていく。事故で折れたわけではなく、市販のカッターナイフのように、最初から折れるような構造になっているソレに――とてつもなく嫌な予感を感じて、腹部に残った折れた刃を無理やり左手で取り出した。
「――――ッ!?」
すると左手に握られたナイフの刃が爆発を起こし、癇癪玉を握っていたかのように左手の肘から先が吹き飛び、悲鳴にもならない叫びが反射的に俺の口から出る。
「ねね、どう? このナイフお気に入りなんだけど、良かったら感想でも聞かせてくれないかな!」
「……最悪だ」
残ったナイフの柄を投げ捨てながら、笑顔でこちらに感想を聞いてくるリーベに、俺は悪態をつくかのように素直な感想を漏らす。リーベが持っていたナイフ――突き刺した後に、横に振るだけで簡単に折れる構造をしており、折れた刀身は数秒後に爆発する。腹部に突き刺さったまま爆発していたら、もう既にこの世界からはいなかっただろうが、結果として左手が犠牲になってしまう。AA−12の特色である低反動ならば、右手一本で発砲すること自体は可能ではあるが……
「ありがと、喜んでもらえたようで何よりだよ! ……じゃあさ、今度はどこの感想を言いたい?」
わざとらしくリーベは両手に先程のナイフを取り出し、こちらの身体を値踏みするかのように射抜く。また来るか、と残った右手でAA−12を強く握ったが、リーベがこちらに来る様子はなく。飽きたようにナイフを投げ捨てると、そのナイフはどこかに消えていき――少なくとも、またすぐ取り出せる位置だろう――楽しそうに笑いながら、代わりのものを取り出した。
「――それとも、こっちで撃ち抜かれたいかな?」
そう言ってリーベが取り出したのは、この騒動の中心となる拳銃《黒星》。死銃のトリックがキリトによっ
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