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SAO−銀ノ月−
第八十八話
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 俺以外にいるプレイヤーなど一人しかいない。その動きに戦慄しながらも、油断なくAA−12を構えながら、天窓となったドアをジャンプしながら開けると、倒壊して上下左右やドアに窓の配置があべこべになった、ビルの廊下へと出る。そこには――

「や! ショウキくん!」

 ――そのもう一人のプレイヤーこと、リーベがちょこんと鎮座していた。いつの間にビルの屋上から、この倒壊するビルに入っていたのかは知らないが、とにかくこちらに向けて手を振っている。

「……どうした、逃げないのか」

「んー。男の子に必死になって追ってもらう、っていうのは女の子の夢なわけだけど。ウチの趣味じゃないや!」

 軽口を叩くように問いかけたその言葉に対して、リーベは飄々と返しながら、「ホイっと」と声を出しながら立ち上がる。彼女が踊るようにステップを踏む度に、腕についたレースが揺れていき、ピンク色を基調とした踊り子の服は自己主張をする。埃や壊れかけの電球が照らす薄暗い廊下の中、その踊り子だけは、煌びやかなステージに立っているかのように。

「ウチとしては男の子に追われるより、お互いの吐息が交わる距離で愛し合う方が――スキっ!」

 そして一足飛びでリーベはこちらへと駆けてくる。AA−12の引き金を引き――引こうとした時には、既にリーベは眼前に迫っており。反射的に横を薙ぐ蹴りを放つと、リーベはその小柄な身体を活かしてしゃがんで避けると、俺の懐に入る。

 その手には、魔法のようにナイフが握られており――

「……のっ!」

 リーベがどこからか取り出したナイフの凶刃が振るわれるより早く、俺はジャンプの要領で横薙ぎしていない方の足を振り上げ、半ば無理やりリーベに蹴りを叩き込む。もちろんそんな無理な態勢から放った蹴りが当たる相手ではないが、その間に零距離でAA−12がリーベに向けられる。

「ッ!」

 流石にこの距離で避けきるのは難しいのか、リーベはAA−12から逃れるように離れていく。その間に俺は着地しながら態勢を整えると、AA−12を放つ――のではなく、後退するリーベへとこちらから接近すると、足元を狙った鋭いスライディングを放った。

 そのスライディングをリーベは小さくジャンプして避けてみせるものの、そのため身体は身動きの取れぬ空中へと投げだされる。その真下をスライディングで通り抜けながら、俺はAA−12で空中に飛ぶリーベへと発射する――が、彼女と俺の間に突如として『壁』が出現する。

 その壁はリーベへと放たれたAA−12の弾丸を全て防いでみせながら、重力に従って真下にいる俺に落下する。勢いのあるスライディングをしていたことが功を労し、何とか壁に押しつぶされるという事態は避けると、クルリと前転して立ち上がり、立ち上がる隙を狙
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