第八十八話
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ずのない温度――それもその熱はGGOで感じていた熱ではなく、これはあの浮遊城で感じた――《彼女》の《心の温度》。
「ッ!」
左側に逃げようとしていたリーベを、俺は復活した左手で掴む。事態を正確に把握すれば何てことはなく、回復アイテムでようやく左手分のHPが回復したため、爆散した左手が再び生えるように復活したというだけのこと。突如として目の前に現れた左手に、流石のリーベも避けることは出来ず、その首を掴んで離さない。
「……それに、この世界では負けても死にはしない」
それがあの浮遊城との絶対的な差。もうあの浮遊城は終わったのだ、という祈りを込めてリーベを抱き寄せると、そのまま二人は手榴弾の爆炎に巻き込まれていく――
――そして意識は急速に現実に戻されていく。GGOにログインしていた総合病院の一室で、俺は即座に起き上がると《アミュスフィア》を片腕でぞんざいに取る。
《死銃》は現実にも複数人存在する。今もなおログインしているだろうシノンはもちろんのこと、リーベが言っていたことが本当ならば、リズも危ない――とまで考えたところで、俺は先程からずっと、GGOにいた時から感じていた温もりが『左手』を包み込んでいた。
「リ……ズ」
……たどたどしく彼女の名を呼ぶ俺を、リズはその目に浮かんでいた涙を隠しながら、太陽のような笑顔で応えてくれていた――
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