第八十八話
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ば、リーベがいるビルは巻き込まれないよう倒壊しないはずだ――と考えた俺の行動をあざ笑うかのように、目の前のビルが爆発を起こした。
「残念。ショウキくんがもう少しチキンだったら、今ので終わってたのにさ?」
そんなリーベの言葉が不思議と耳に伝わりつつ、目の前のビルが俺に向かって倒れかかってきた。爆発によって止めていた足を動かすと、ビルの影から外に身体を無理やり飛び込ませる。寸前のところでビルは避けられたようで、自分のすぐ横を倒壊したビルの破片が炸裂していく。その振動に足を捕らわれていながらも、何とかリーベの位置を確認しようと上を見ると、既に飛び移っていたのか他のビルに踊り子の姿を臨む。
「お次はドミノ倒し!」
「……ッ!」
次に爆破されて倒壊するは先の隣のビル――つまり、今俺の正面にあるビルである。一斉にビルを爆破せずにしているのは、こうしてこちらの疲労を煽り、逃げ場のない最後のビルにまで誘導するためか――ならば、このままリーベの思い通りに逃げ回るのは下策。
「…………」
集中。倒れ込んでくるビルを前に逃げ回る選択を止めると、あるポイントを見極めてその場で立ち尽くす。徐々に濃くなっていく影と風を切る音に惑わされることはなく、圧倒的な質量兵器と化したビルに対し、俺は狙いすましてAA−12を構える。
そして倒れ込んでくるビルへと斉射。今まであらゆるものを破壊してきた鉄の暴風雨だったが、当然のことながらビルを破壊することは出来ない――が、ガラスなどはないに等しい。
AA−12の薬莢が吹き飛ぶ度にビルの一部のガラスが細かく砕かれていき、中の部屋にあったものも爆発の余波もあって、もはや原型も留めないほど粉砕され――ビルは俺に向かって倒れ伏した。
しかし動ずることはなく――俺の頭上に落ちてくるものは、何もなかったからだ。俺の頭上に落ちてくる筈だったものは、既にAA−12によって粉砕されており、ビルの一室にスッポリと入る形となり。ガラス片程度は来たものの、俺は無事のまま倒壊したビルの一室にいた。
「ふぅ……」
考えていたことが成功したことに一息つきながら、俺の頭上にあったものを全て粉砕したことで弾切れとなったAA−12の弾倉を交換すると――もうその数も少ない――携帯端末を取り出した。ふと15分経過していることに気づき、キリトたちは無事なのか気になり、小休止がてらサテライト・スキャンを確認する。
キリトとシノンの反応は健在だということに安心しながら、その近くには《闇風》というプレイヤーと、死銃こと《Sterben》が少し離れた距離に。あちらもあちらで戦いが繰り広げられているようだ、と端末を閉じようとすると――俺と同じ建物の中に、もう一人のプレイヤーの反応があった。
「――――
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