第四十二話 佐天さん倒れる
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「君達、ちょっといいかな?」
佐天さんの病室から出た所でカエル顔の医者から声をかけられる。
「え……はっ!? リアルゲコ太!」
「いやいやお姉様、それはないですの」
振り向いた御坂さんがカエル顔の医者の顔に目一杯の反応を示しているが、そこに白井さんから冷静な突っ込みが入れられる。
「さて、これがレベルアッパー使用者の全脳波パターンだ。当然脳波は個人個人で違うから、同じ波形なんてあり得ないんだね。ところが……だ。レベルアッパー使用者にはある一定の脳波パターンがあることに気づいたんだよ」
カエル顔の医者に促されて入った部屋でパソコンの画面を見せられ、画面に表示される脳波パターンについて説明された。やはり疑問に思うのは、この世界での脳波の扱い方である。元の世界ではリラックス状態や緊張状態を示すアルファー波やベーター波というものがあって、その人の状態によって脳波が変わり続けていたはずなのだ。まあ、アルファー波を出している人が皆同じ波形を出していたのかどうかも知らないし、そもそもアルファー波というものをこのような波形で見たことすらないわけだが……。
「どういうことですの?」
「つまり、誰か他人の脳波パターンで、無理矢理脳が動かされるようなことがあるとしたら、まず間違いなく人体に多大な影響が出るだろうねぇ」
白井さんの疑問にカエル顔の医者が答える。確かに脳波というものが各人固定だったとして、それを無理矢理に変えられたのなら脳の働きに支障が出てもおかしくないだろう。
「AIM拡散力場によるネットワークを形成する為に、レベルアッパーで脳波パターンをいじる必要があったということかしら」
カエル顔の医者の話を聞いた御坂さんがつぶやく。
「一体誰が何のつもりで……」
「僕は医師だ。ここに運び込まれた患者を治療するのは僕の仕事だが、レベルアッパーが何のために作られたかを調べるのは、君達の仕事だろう?」
白井さんがつぶやいた疑問は特にカエル顔の医者に向けたものではなかったはずなのだが、カエル顔の医者もそれには答えていた。しかし、「君達」ということは俺と御坂さんも入っているというわけか。まあ、俺は勿論、御坂さんも当然やる気なのは間違いないだろう。
「そうですわね」
白井さんは短く答えると、カエル顔の医者から脳波パターンのデータを受け取る。脳波についての見解が完全に違っていた為に、結局俺はここで何一つ発言することができなかったのだが、どうしても言わなければならないことが一つだけあった。
「俺もレベルアッパー使用者なんですけど、俺の脳波も調べて貰えませんか?」
「あ!」
「そう言えば……そうだったわね」
俺の発言に白井さんと御坂さんが声を
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