第四十二話 佐天さん倒れる
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じてかなり視点が低くなっていることぐらいだろうか。
病院までは何とかアンチスキルなどに見つかることもなく到着し、裏手の駐車場で車を作成空間に戻すと佐天さんの病室に向かう。病室の場所は予め初春さんに聞いてあるので直接向かっている。
「佐天さん……」
病室に到着すると、白井さんに連れられて先に到着していた御坂さんが呆然とつぶやいていた。
「アケミさんにむーちゃん、マコちんも居るのか……」
病室は4人部屋で、佐天さんの他にはアケミさん、むーちゃん、マコちんの3人も寝かされている。佐天さんがレベルアッパーを使っているのだから、アニメ同様この三人も一緒に使ったということなのだろう。
「何でこんなことに……」
「ちょっとアンタ! 何で佐天さんにレベルアッパー使うなって言わなかったのよ!?」
白井さんがつぶやくと御坂さんが俺に掴み掛かってきた。
「言わなくても使うことないだろうって思ってた……」
これに関しては俺の見込みが甘かったと言わざるを得ない。確かに可能性としてはかなり低いと思っていたのだが、それでも可能性があるとは考えていたのだ。しかし、佐天さんが使いたいと思っているなら使わせても良いと思っていたのも事実である。佐天さんが使いたいと思っているのに無理矢理使わせない方向へ持って行くと、佐天さんの心の闇が今後どういう方向へ向かっていくか全然想像できなかったからだ。
「私も昨日の内にレベルアッパーの入手先をちゃんと聞いておくべきでしたわ」
「まさか意識不明になると分かっても使うとは思わなかった」
白井さんの後に俺もつぶやく。佐天さんがレベルアッパーを使いたくなくなるようにいろいろと誘導してきたつもりだったが、それよりも佐天さんの能力を使いたいという気持ちのほうが上回ったのだろう。
「ねえ、レベルアッパー使ったら意識不明になるのはほぼ確実っぽいって話、佐天さんには教えたの?」
「いや、昨日の話を聞いてれば分かるんじゃ……」
俺のつぶやきを聞いた御坂さんが尋ねてくるので答えたが、頭の片隅に何か引っかかるものが残った。
「その話……した時にはまだ佐天さんと初春さん来てなかったわよね?」
御坂さんから確認されて、俺の頭の片隅に引っかかっていたものがなんだったのかをはっきりと認識する。
「え……マジ?」
「マジですわ」
「やっぱり神代さんって抜けてるわねぇ」
思わず聞き返してしまった俺に白井さんと御坂さんがあきれたような視線を向けてくる。
「やばい……これは何も言い返せない……」
一昨日は同じことを言われてもそれなりに返せた言葉だったが、今日は完全にその通りなので言い返す言葉などあろうはずがなかった。
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