第二百三十話 本能寺へその十二
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「そう出ています」
「それは何よりじゃな」
「はい、それに」
「それにか」
「その妖星達もです」
それもというのだ。
「今は輝きが強いですが」
「これからはどうなると出ておるか」
「弱まります」
その十一の妖星達のそれはというのだ。
「そして消えます」
「そうか、わかった」
「はい、それでは」
「上様、そしてお屋形様をお迎えする用意をせよ」
信長だけでなく信忠もというのだ。
「よいな」
「お二人共ですな」
「お迎えする用意をですな」
「整えておくのですな」
「この城で」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「よいな」
「では茶ですな」
福富が笑って平手に言って来た。
「上様のお好きな」
「それだけではないぞ」
「菓子もですな」
「そうじゃ、とびきり甘い菓子をじゃ」
用意する菓子はそれだというのだ。
「それはわかっておろう」
「はい、上様がお好きですから」
「上様は昔から酒は飲まれぬ」
とかくだ、信長は酒を口にしない。これは飲まないというよりは飲めないのだ。信長の体質がそうなのだ。
「しかし茶はお好きでな」
「そして菓子もですな」
「果物もお好きですし」
「とかく甘いものがお好きじゃ」
それが信長だ、とにかく甘いものが好きなのだ。
「だからじゃ」
「そういったものを用意して」
「そしてですな」
「お待ちするぞ」
こう言って実際に用意させるのだった、平手は全てをわかったうえで動いていた。
天下は大きく動こうとしていたがそれはまだ見えていなかった、しかし。
確かに動いていてだ、それは丹波でもだった。
明智光秀は亀山城に拠点を置きそこを丹波を治める拠点としていた、彼の傍には常に斎藤利三と明智秀満がおり彼を助けていた。
その政は万全であり抜かりがなかった、その為信長からも深い信を得ていた。
その為官位も高くだ、織田家においても重臣となっていた。だが。
「考えてみればな」
「うむ、明智様はな」
「あの方も外様じゃ」
「織田家の中ではな」
「それであそこまでなられた」
「大層な方ではあるが」
しかしというのだ。
「気苦労も多いであろう」
「織田家譜代の方の中で頑張られてな」
「織田家でも四天王の一人となられる」
「そこまでなられるとなるとな」
こうしたことも言われていた、だが。
明智本人はだ、その噂に笑ってこう言っていた。
「それは上様のお陰じゃ」
「はい、殿を見られてですな」
「そのうえで用いられてのことですから」
斎藤と秀満がその明智に応える。
「だから話すに及ばない」
「そういうことですな」
「その通りじゃ、わしはな」
明智自身はというと。
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