第二百三十話 本能寺へその七
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「浅井家の中にも、比叡山にも高野山にも。そして」
「まさか」
「勘十郎にもついておった」
信行、彼にもというのだ。
「こう言えばわかろう」
「あの津々木という」
「あの者もじゃ」
まさにというのだ。
「そうした者だったのじゃ」
「まさか確かなことが」
「わかってきた、神武帝の御代よりあの者達との戦がありじゃ」
そしてとだ、信長は話を続けていく。
その中で何処にどういった書があり何が書かれていたのかを家康にこと細かに話した、家康はその話を聞くうちに次第にその顔を蒼白とさせ。
信長の話が終わった時にだ、唖然となって言った。
「いや、まさか」
「信じられぬであろう」
「普通では」
「そう言うか」
「これが吉法師殿以外から言われたなら」
「信じなかったか」
「はい」
まさにそうだとだ、家康は答えた。
「左様でした」
「しかしじゃな」
「吉法師殿のお言葉ならば」
信じるというのだ。
「左様です、考えてみますと」
これまでのこととだ。
「確かにです」
「怪しいのう」
「天下の動きの中に」
「そうしたものがあってな」
「歪みが生じかけてきました」
家康も言う。
「その都度防いできましたが」
「思えば最初からあった」
「その津々木という者から」
「うむ、何かとな」
「仕掛けてきていましたな」
「そうじゃ、してわしは間もなく上洛するが」
「上洛ですか」
「御主が堺見物をしている間にな」
まさにその時にというのだ。
「都に入るが」
「確か今都は」
「うむ、兵を置いておらぬ」
信長を守る様な軍勢はというのだ。
「京都所司代として勘十郎を置いていたがな」
「その勘十郎殿は今は大坂ですな」
「そこにおる」
兵を連れてだ。
「二郎三郎と共にな」
「そうですな」
「今京の都は空じゃ」
「そこにさらにですな」
「わしに奇妙も入る、まさにな」
「相手が動くなら」
「これ以上の好機はない」
信長を消そうとするのなら、というのだ。
「だからあえて入る」
「命賭けですな」
「これが戦じゃ」
信長は笑ってこうも言った。
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