第1章:平穏にさよなら
第15話「草の神」
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〈っ!来ます!結界です!〉
辺りの雰囲気が変わる。...これは、閉じ込めるタイプの結界か!
「...力を失ったせいか、こんなにあからさまな術の行使にも気づけないなんて...。」
「魔法だから..かもしれないけどね。」
かやのひめさんは動物そのものじゃないから久遠のように感づけなかっただけで、“魔法”として気づけたのは僕と緋雪だけだろう。
〈...封鎖結界...これは、逃げられませんね。〉
「なら、倒すしかない...か。」
上空を見ると、いつの間に現れたのか、数人の人影があった。
「っ....!薔薇姫っ!」
「彼女が....?」
複数ある人影の中に、一人だけ足を掴まれてぶらさがっていた。
右のサイドポニーの銀髪で、内側がピンク色のボロボロの黒い外套を纏い、その外套を留めるように菫色のリボンを胸元に付けている。内に来ている服は女子高生の制服のような茜色のスカートと白いシャツで、菫色のリボンが巻かれた黒いショートブーツを履いていた。
....ただし、ボロボロになり、折れたレイピアを持って気絶していた。...いや、ほぼ死んだも同然だ。そこまでボロボロになっている。
「薔薇姫ぇっ!!」
かやのひめさんの悲痛な叫びに、奴らはにやけながら彼女を投げ...
―――容赦なく魔力弾をぶつけた。
「っ....ぁ....!」
「あいつら....!!」
魔力弾により吹き飛ばされた彼女は、ちょうど僕達の所に飛んでくる。かやのひめさんがそれをキャッチし、緋雪は奴らに対して怒る。
「落ち着け...。」
「でも....!」
僕だって憤ってるのは変わりない。僕も奴らを睨むと、奴らはにやけながら、
「ほらほらどうしたぁ?感動の再会だぜ?」
「ま、犬死にしてるけどな!ぎゃはははは!」
...あいつら...!そんじょそこらの盗賊みたいな喋り方が余計癪に障る...!
「っ....!あんたたちねぇっ!!」
怒りに任せ、かやのひめさんが何かしらの力(おそらく霊力)を込めた矢を奴らに向けて放つ。
「おっと、危ない。」
「っ....。」
しかし、それは余裕を持った防御魔法で防がれる。
「ふはははは!無様だなぁ?必死に逃げて、友人サマを犠牲にしたのに、こんな所で追い詰められて、渾身の一撃も防がれたんだからなぁ!」
「っ...く....!!」
バカにされてかやのひめさんは悔しさに俯く。
「なんなのよ...なんなのよアンタたちはぁっ!!」
ボロボロになった薔薇姫さんを抱きしめながらかやのひめさんは叫ぶ。
バシュッ!
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