第1章:平穏にさよなら
第15話「草の神」
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訳ないでしょ?」
“どうしても欲しいのなら”と少女は区切り、
「力を失ってなお、吸血鬼としての力を振う薔薇姫を倒してからにしなよ!」
赤い瞳を爛々と輝かせ、はっきりとそう告げる。
「古くから語り継がれてきた陰陽の力、見せてあげる!」
そう言って、少女は森の奥にいる“敵”に向かって、駆けだした。
「(....誰か....。)」
逃げ続ける少女は、足止めをしてくれる彼女を思い浮かべながら、祈る。
「(私を...ううん、あいつを、助けてあげて...!)」
素直に言葉には出せなくても、少女は彼女の身を案じる。
「(力を失った私の代わりに....どうか....!)」
森をついに抜け、拓けた場所に出る。
「.....神.....社......?」
息も絶え絶えに辿り着いたそこは、そこまで大きくない神社だった。
「(お願い....誰か.....。)」
いないのは分かっている。だけど、少女は昔仕えていた主の事を求めた。きっと、“あの子”なら真っ先に助けに来てくれるだろう...と。
「(....あはは....なに思ってるんだろう...私...。)」
ふらふらと、体力にも限界を感じ、神社の縁側に倒れこむように乗る。
「....誰か...助けてよぉ.....!」
今までにもたくさん危険な事はあった。だけど、今回ばかりは少女の精神はだいぶ追い詰められていた。
衰弱しきった力。訳も分からずに襲ってくる何者か。そして、足止めのために犠牲になった数少なくなった友人の一人。
その全てが少女の精神を蝕んでいた。弱気になるのも無理はない。
「(誰かぁ...お願い.....。)」
体力を使い果たしたからか、縁側の板を涙で濡らしながら少女の意識は闇に沈んだ。
=優輝side=
....はて、僕はなにをしているのだろう?
「お兄ちゃーん!待ってよー!」
状況を確認しよう。今日は土曜日。時刻はまだ朝で、現在位置はあまり通る機会のない道。休みだから学校とかは問題ない。宿題も終わらせてある。
...いや、そこではなくて...。
「いきなりどこに行くのー!?」
そう。今僕が向かっている場所。それは僕にもよくわからない。
「いや、何か助けを求められた気がして...。」
「助けが?」
感覚的というか、無意識というか...とにかくよく分からないが、助けを求める“意志”が感じられた。
「何か...導かれてる気がするん
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