第1章:平穏にさよなら
第15話「草の神」
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嗟に、弾丸を弾いていた少女がもう一人を庇うように倒れこむ。
そして、そのすぐ上を光の奔流が通り過ぎた。
「なに!?なんなの!?」
「っ...ビームは、彼女の特権なのに...厄介すぎるよ!」
色こそ違うものの、二人のかつての仲間が使っていた技に似た攻撃を見て、二人は戦慄する。“このままでは逃げきれない”...と。
「....行って。」
「なにを....。」
レイピアを持った少女が走るのをやめ、そう言う。
「あたしが、足止めするから...かやちゃんは先に行って。」
「っ...!なに言ってるの!?そんな事したら、あんたは...!」
足止め...つまり、犠牲になってでももう一人を逃がそうとするつもりだ。だけど、当然もう一人はそれを認められない。
「...あたしなら、ある程度魔力の知識もあるし、力も残ってる。」
「それでも...!」
「それに、狙われてるのはその勾玉なんだよ?かやちゃんは、逃げて。」
「っ.....!」
分かってる。どちらかが犠牲にならなければ逃げる事もできない事など。だからこそ、少女は納得したくなかった。
「...お願い。絶対に、死なないで...!」
いつもは、素直に言えず、拒絶のような言葉を言ってしまう少女は、その時だけ、素直にそう言った。
「あはは、かやちゃんが素直になったの、初めてだね。」
「う、うるさいわね!私だって時と場所は弁えるわよ!」
やっぱり素直になれない少女に、もう一人は笑顔になる。
「...うん!かやちゃんに応援されたなら、なんだってできるよ!」
「...なら、後は頼んだわよ...“薔薇姫”。」
そう言って、少女は背を向け、再び走り出した。
「.....なーんて、強がってみたけど...。」
残った少女は今まで見せた事のないような真剣な顔になり、森の奥を見つめる。
「...ここまでのピンチ、昔でもなかったなぁ...。」
レイピアを構え、一つの油断もなく構える。
「...いい加減、出てきなよ。」
少女は森の奥にいる“存在”に話しかける。
「魔法...それもあたしの知らない魔法を使う輩...か。」
先程から使われていた魔法は、少女も知らない魔法だった。だからこそ、少女は隙の一つも見せることができない。
「...分かってるよ。目的はあの勾玉...でしょ?」
森の奥から返ってきた返事に、そう答える少女。
「...ふぅん。勾玉と一つになった“アレ”さえ手に入れば他はどうでもいい...か。」
森の奥を見つめる少女が目を細める。
「そんなの、当然させる
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