1部分:第一章
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っています」
「元々この国は失踪者が多いがな」
「はい」
ハリスもまたその知的な顔を難しくさせてホージーの言葉に答えた。実際にアメリカでは年間百万人単位での失踪者が出ている。その内訳は不明だが奇怪な事件が関係しているのではないのかといった失踪も数多く存在しているのも事実だ。アメリカの一面と言ってもいい。
「それでも最近のここは」
「有り得ないですね」
「そうだ、有り得ない」
ホージーは難しい顔のままでハリスの言葉に答えた。
「何人だったかな、それで」
「二百人を越えました」
「遂にか」
「そしてです」
ハリスの言葉は続く。
「昨日河で発見された人骨ですが」
「!?そういえばそんな話もあったな」
ホージーはそれを聞いてふとした感じで目を動かした。
「川辺に転がっていたんだったな」
「そうです。その骨ですが」
「ああ」
「肉が奇麗に削ぎ落とされていました」
「削ぎ落とす!?」
「はい」
ホージーの驚いた言葉にクールに答える。しかしクールなのは声だけでその表情は曇ったものだった。その顔での言葉であった。
「一片残らず。それこそ」
「一片も残さず削ぎ落とすといえばだ」
ホージーは考えながら述べた。
「ネコ科の動物がそうだな」
「猫!?」
「ああ、猫は骨を舐めるだろう」
「ええ」
これはハリスも知っていた。
「うちの猫も鳥や魚をそうして食べますので」
「それだ」
彼はそこに突っ込みを入れる。右手の指を動かして。
「舌がザラザラしているな。それで削り取るんだ」
「それですか」
「知らなかったのか」
「猫を飼いはじめたばかりなので」
これは言い訳だった。しかしそれでも言うのだった。
「今はじめて知りました」
「そしてこれは猫だけじゃない」
「他のネコ科の動物もですか」
「ああ。ライオンやトラ」
そのうえである生き物の名前も出た。
「それにピューマだ」
「ピューマですか」
アメリカにいる大型のネコ科の生き物である。身のこなしが素早くとりわけ足音を立てずに歩くことが得意で獲物を静かに狙うのである。
「まだ野生のはいるかな」
「少なくともこの街にはいないかと」
ハリスはホージーの今の言葉には首を傾げて答える。
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