九十四 瀬戸際にて
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の機を逃してなるものか、とばかりに回転する。衝撃で、君麻呂の手許の骨も、ネジの傍にあった骨の太刀も天へ舞い上がった。
ネジのチャクラが君麻呂を襲い、身体を傷つける。両腕を交差し、耐えていた君麻呂だが、【回天】に迸っているのはチャクラだけではない。
水だ。
何時の間に誘導されていたのか。
現在、ネジと君麻呂がいる場所は川の中。そんな所で、ネジは【回天】を発動させた。
当然、足下で湛える水をも巻き込む。よって、膨大な水量がネジを中心に回転しているのである。
迸るチャクラに沿って、宙を流れる水が円を描く。それはまるで、空に浮かぶ渦潮。
術者であるネジ本人は無事だが、周囲における被害は甚大ではない。
おまけに、ネジのチャクラだけでも十分な殺傷力があるのに、渦巻く激流は君麻呂から呼吸をも奪う。水を孕んだ【回天】の中、息が出来ず、体力も確実に削られてゆく。
とうとう【回天】に弾かれ、君麻呂の身体が宙を舞った。
水飛沫を上げて墜落する。弾かれた君麻呂を視界端に捉え、ネジはそこでようやく回るのを止めた。【回天】が止まる。同時に、ネジの頭上から水が雨の如く降り注いだ。
荒い息を繰り返しながら、ネジは倒れ伏した君麻呂を見下ろす。ほとんどのチャクラを今の【回天】に使ったため、動くのもままならない。
だが彼は今にも遠退きそうになる意識を無理に引き立てて、君麻呂の傍へ向かった。
実は対戦中、ネジは秘かに君麻呂の点穴を突いていたのだ。
流石に何度も骨に邪魔されたが、【白眼】を持つ彼は、戦闘中であっても的確に点穴を何箇所か突く事が出来た。
君麻呂が体内の骨を自在に操るのならば、骨と骨の間を狙えばいい。
例えば腕の橈骨と尺骨の間。前腕の拇指側にある軸状の長骨――橈骨は上方を上腕骨・尺骨に、下方を手根骨と連接している。どちらも上腕骨に繋がっている橈骨と尺骨の間はどうしても僅かに空いている。これは前腕骨間膜という靭帯が結合している為だ。
つまりどんなに骨を思いのままに操れると言っても、元からある骨の形状そのものを変化させるのは不可能である。
骨を増やしたり、硬化したり、カルシウム濃度を変えたりする事などが出来ても、元からある骨と骨の隙間を密着させるだろうか。
いや、例え密着させる事が可能だとしても、骨と骨の間などといった些細な点に注目するだろうか。
だが、ネジはそこを狙った。これはひとえに、中忍本試験中、波風ナルとの対戦中に学んだ事である。
盲点であった足下からの攻撃に、ネジは成すすべなくやられた。故に、今回【回天】を使った際も地面ではなく、川の中で発動したのだ。
真下からの攻撃を考慮し、尚且つ、水を【回天】に巻き込む事で威力を付加する。君麻呂の【十指穿弾】を容易に弾いた
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